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Capitolo 2
1つの萌芽 リルフィリアサイド
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カラン、ポチャ
「……」
小瓶を倒し、中身を撒く。中身だったのは誰かの血。誰でもいいし、気にもしないけど。僕としては関係ないこと。あいつらには叱られるんだろうけど。中身が珍しいものとか言ってたし。毒々しい血なんて、使い道も何もないでしょうが。
「人間、人外……か。此方側の子は何名いるんだろうな」
どっちでもいいか。どちらにせよ、僕とフィナ……侑樹の地位を脅かす子は出てこない。出てこれないんだし。僕もフィナも、聖と邪の極値を走っている。これ以上のものは世界自体が崩壊する。この世界は僕とフィナしか他世界に移動できない。
そもそも、僕らは他世界のもので、近似生命体らの住むところになんていなかったけど。本当に、どうでもいいな。
「小瓶が一つ、毒血の小瓶がありました」
歌を紡ぐ。誰とも知れずに僕が死ぬ布石とするために。
「カランコロンと音を立てて、水の中に溶け込んで」
魂が希薄となることでしか死ねない僕のためだけに。
「薄く薄く張りまして、それでも殺すには十分で」
フィナの都合も、上の都合も、一切考えていなくて。
「それでも神を殺すには不十分な」
永遠に生き返ることのないことを求める僕のためだけに。
「それでも呪いには十分で」
呪いに蝕まれて、消えていく僕の灯火は
「儚い魂となりましょう」
何兆年と生きていたからだろうか、とても醜くて
「醜くても最後は綺麗に散りましょう」
泣きそうになってしまう
「あぁ、それでもやっぱり」
でも、まだ足りない
「神を殺すには不十分」
まだ死ねないのか
「薄幸を見に纏い」
幸運は不運で
「豪運を見に纏い」
不幸は幸福で
「嘲笑う神の御姿」
全てを軽蔑し切った僕は
「超越とでも言うのでしょう」
やはり人間とは相容れない
「無礼とでも言うのでしょう」
失礼だとでも思うのだろうか
「さぁさぁ、幾度と繰り返す」
いつまで経っても終わらない
「殺戮の業を背負いしは」
■神としての災いは
「単に邪に飲み込まれ」
邪神に毎度殺されて
「白となるのでありましょう」
真っ白になって生まれてくる
「また限りなく黒に染まりましょう」
また手を汚してしまうのに
「限りなく透明になりましょう」
死ぬ度に魂は希薄になってくれる
「あぁ、やはりどうでもいい」
何かやり残したことでもあったっけ
小瓶を潰し、その場に捨て置く。あぁ、まだなのだろうか。
「全神の主人がリルフィリアは呪言を紡ぐ、我が身罷りし時、邪よ憤るな。其れ汝の責言えど、我の責なり」
願はくば、フィナが苦しまぬように。邪は呪いにかかれぬから。
「……」
小瓶を倒し、中身を撒く。中身だったのは誰かの血。誰でもいいし、気にもしないけど。僕としては関係ないこと。あいつらには叱られるんだろうけど。中身が珍しいものとか言ってたし。毒々しい血なんて、使い道も何もないでしょうが。
「人間、人外……か。此方側の子は何名いるんだろうな」
どっちでもいいか。どちらにせよ、僕とフィナ……侑樹の地位を脅かす子は出てこない。出てこれないんだし。僕もフィナも、聖と邪の極値を走っている。これ以上のものは世界自体が崩壊する。この世界は僕とフィナしか他世界に移動できない。
そもそも、僕らは他世界のもので、近似生命体らの住むところになんていなかったけど。本当に、どうでもいいな。
「小瓶が一つ、毒血の小瓶がありました」
歌を紡ぐ。誰とも知れずに僕が死ぬ布石とするために。
「カランコロンと音を立てて、水の中に溶け込んで」
魂が希薄となることでしか死ねない僕のためだけに。
「薄く薄く張りまして、それでも殺すには十分で」
フィナの都合も、上の都合も、一切考えていなくて。
「それでも神を殺すには不十分な」
永遠に生き返ることのないことを求める僕のためだけに。
「それでも呪いには十分で」
呪いに蝕まれて、消えていく僕の灯火は
「儚い魂となりましょう」
何兆年と生きていたからだろうか、とても醜くて
「醜くても最後は綺麗に散りましょう」
泣きそうになってしまう
「あぁ、それでもやっぱり」
でも、まだ足りない
「神を殺すには不十分」
まだ死ねないのか
「薄幸を見に纏い」
幸運は不運で
「豪運を見に纏い」
不幸は幸福で
「嘲笑う神の御姿」
全てを軽蔑し切った僕は
「超越とでも言うのでしょう」
やはり人間とは相容れない
「無礼とでも言うのでしょう」
失礼だとでも思うのだろうか
「さぁさぁ、幾度と繰り返す」
いつまで経っても終わらない
「殺戮の業を背負いしは」
■神としての災いは
「単に邪に飲み込まれ」
邪神に毎度殺されて
「白となるのでありましょう」
真っ白になって生まれてくる
「また限りなく黒に染まりましょう」
また手を汚してしまうのに
「限りなく透明になりましょう」
死ぬ度に魂は希薄になってくれる
「あぁ、やはりどうでもいい」
何かやり残したことでもあったっけ
小瓶を潰し、その場に捨て置く。あぁ、まだなのだろうか。
「全神の主人がリルフィリアは呪言を紡ぐ、我が身罷りし時、邪よ憤るな。其れ汝の責言えど、我の責なり」
願はくば、フィナが苦しまぬように。邪は呪いにかかれぬから。
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