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第三章
閑話 一方その頃、護衛騎士キーツたちは…〜歌が上手になりました!
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リオン様とルゼル様がコーク公爵閣下の別邸に行っている間、二天使様が登城した時に護衛をしている私たち五人の騎士は護衛の仕事がない分、騎士の仕事である奉仕活動を中心に勤めています。
戦後の瓦礫はまだ地方に行くと沢山あります。私たち護衛組五人は護衛の仕事がしばらくないので少し遠い地方の瓦礫整理に行くことになりました。行き先には病院もあるとのことです。その病院での奉仕活動と余暇の活動も任されました。
病院での余暇活動が患者の皆様の心の健康に良いということは最近わかってきたところです。
王妃様がまず歌唱による成果を見出されました。素晴らしい発見です。
キッカケは二天使様の歌だと団長から聴きましたが、実際私は護衛中にあの二天使様の奇跡の歌声を聴きました。ですから非常に納得です。私は身をもって歌の力を知りました。
どのようにそれを表現したら良いのでしょう。あの時…なぜでしょうか涙が出ました。大好きだった祖母がうっすら見えたような気さえしました。
同じく護衛していたヨハンが「え?お祖父様?」とつぶやいていました。
さて、我々が病院での余暇に何をするかと言う話です。
「やはり歌は外せないだろう」
とヨハン。やはりあの時の二天使様の歌にただならぬ治癒の力を感じたようです。
「歌かー。あれ、ハモると気持ちいいけど、五人でハモれる歌って何がある?まぁ色々あるけど私たちで仕上げられる歌ってことで」
うーん。確かに、今までの病院余暇活動は近場の病院に大人数で行っていたから多少音程が怪しくても上手い仲間にカバーしてもらえていた…それが五人ではカバーが難しい。
「…二天使が歌っていたあの歌、良いよな」
あれは良かった。本当に良かった。
「あ、それ良いのでは?」
「だな。あれは学園で習う歌だし短いし…あそこまでの感動は生み出せなくても絶望的な難しさではないな」
「うん。良いと思う」
「私も賛成です」
私は賛成しました。長い歌は練習時間が足りない気がしますし。あとは…全員チラッとルカを見ます。なんとなく、最後にルカの意見を聞きたくなるのが我々です。うん、と頷いてルカが言います。
「よし、じゃ歌はそれでいこう!ただ少し短すぎるから、歌詞を新しく作って二番まで歌おう」
「なにそれ、新しい発想」
なんだか発想が二天使様に似てる。
「ちょっと二天使の真似してみた。お二人ならどうなさるかなって」
「わかるぅ」
我々同じ感覚です。
「あと、騎士の演武はどうだろう?」
ある程度の広さがあればできる演武もできるならそれも良いのでは?静の歌と動の演武。バランス良いのでは?
しかも万が一、歌で失敗しても演武でフォローできるし…歌のカバーしてもらえないなら自分たちでカバーしなければなりませんから。演武は失敗しないので。私たち騎士ですから。ふっ。
決まりました。歌と演武です。
早速練習です。
♪光の~風に草が揺れ~
二天使様のようには歌えません。これは練習あるのみ。
演武練習、歌練習、演武練習、歌練習、演武練習、歌練習、歌練習、歌練習、歌練習…
我々、歌にハマりました。
しかもハモリも完全マスターしました。ハマりすぎて、どちらのパートも歌えるようになりました。
「単純に声出すだけでも気分良くなる感じがあるけど、歌えると楽しさというかスッキリ感がまた違うな」
出発前に騎士仲間にチェック入れてもらおうと歌を披露してみました…騎士団寮の食堂で。
拍手喝采でした。これは嬉しいです。
「えー、二天使の歌じゃん。二天使の次に上手いんだけど!」
「演武より上手くなってね?」
「ハモリパート教えて欲しい!私も病院余暇でやりたい!」
「やばい…なんか先々代が見えた気がした…」
これはかなりの完成度なのではないでしょうか。
練習は裏切りません。我々歌が上手になりました!
♢♢♢
病院余暇活動は大成功でした。
プログラムは
①蛙の歌、輪唱。(これも二天使様の真似です。二天使様が楽しく歌われているので、つかみの曲として選びました)
皆様大変楽しんで手拍子しながら笑っておられました。
②演武。
これは打って変わって真面目な演目です。皆様の歓声で成功を感じました。
③讃美歌。例の曲です。
これも拍手喝采でした。二番の歌詞も違和感なく受け入れられたようです。輪唱と違うのは涙を流されている方々がいらしたことでしょう。私たちの歌が届いたようで私たちにも得るものがあった歌となりました。
二天使様は数日後にお戻りだそうです。
私たちが歌が上手になった分、二天使様も成長されてお戻りになるはずです。お会いできる日が今から楽しみです。
戦後の瓦礫はまだ地方に行くと沢山あります。私たち護衛組五人は護衛の仕事がしばらくないので少し遠い地方の瓦礫整理に行くことになりました。行き先には病院もあるとのことです。その病院での奉仕活動と余暇の活動も任されました。
病院での余暇活動が患者の皆様の心の健康に良いということは最近わかってきたところです。
王妃様がまず歌唱による成果を見出されました。素晴らしい発見です。
キッカケは二天使様の歌だと団長から聴きましたが、実際私は護衛中にあの二天使様の奇跡の歌声を聴きました。ですから非常に納得です。私は身をもって歌の力を知りました。
どのようにそれを表現したら良いのでしょう。あの時…なぜでしょうか涙が出ました。大好きだった祖母がうっすら見えたような気さえしました。
同じく護衛していたヨハンが「え?お祖父様?」とつぶやいていました。
さて、我々が病院での余暇に何をするかと言う話です。
「やはり歌は外せないだろう」
とヨハン。やはりあの時の二天使様の歌にただならぬ治癒の力を感じたようです。
「歌かー。あれ、ハモると気持ちいいけど、五人でハモれる歌って何がある?まぁ色々あるけど私たちで仕上げられる歌ってことで」
うーん。確かに、今までの病院余暇活動は近場の病院に大人数で行っていたから多少音程が怪しくても上手い仲間にカバーしてもらえていた…それが五人ではカバーが難しい。
「…二天使が歌っていたあの歌、良いよな」
あれは良かった。本当に良かった。
「あ、それ良いのでは?」
「だな。あれは学園で習う歌だし短いし…あそこまでの感動は生み出せなくても絶望的な難しさではないな」
「うん。良いと思う」
「私も賛成です」
私は賛成しました。長い歌は練習時間が足りない気がしますし。あとは…全員チラッとルカを見ます。なんとなく、最後にルカの意見を聞きたくなるのが我々です。うん、と頷いてルカが言います。
「よし、じゃ歌はそれでいこう!ただ少し短すぎるから、歌詞を新しく作って二番まで歌おう」
「なにそれ、新しい発想」
なんだか発想が二天使様に似てる。
「ちょっと二天使の真似してみた。お二人ならどうなさるかなって」
「わかるぅ」
我々同じ感覚です。
「あと、騎士の演武はどうだろう?」
ある程度の広さがあればできる演武もできるならそれも良いのでは?静の歌と動の演武。バランス良いのでは?
しかも万が一、歌で失敗しても演武でフォローできるし…歌のカバーしてもらえないなら自分たちでカバーしなければなりませんから。演武は失敗しないので。私たち騎士ですから。ふっ。
決まりました。歌と演武です。
早速練習です。
♪光の~風に草が揺れ~
二天使様のようには歌えません。これは練習あるのみ。
演武練習、歌練習、演武練習、歌練習、演武練習、歌練習、歌練習、歌練習、歌練習…
我々、歌にハマりました。
しかもハモリも完全マスターしました。ハマりすぎて、どちらのパートも歌えるようになりました。
「単純に声出すだけでも気分良くなる感じがあるけど、歌えると楽しさというかスッキリ感がまた違うな」
出発前に騎士仲間にチェック入れてもらおうと歌を披露してみました…騎士団寮の食堂で。
拍手喝采でした。これは嬉しいです。
「えー、二天使の歌じゃん。二天使の次に上手いんだけど!」
「演武より上手くなってね?」
「ハモリパート教えて欲しい!私も病院余暇でやりたい!」
「やばい…なんか先々代が見えた気がした…」
これはかなりの完成度なのではないでしょうか。
練習は裏切りません。我々歌が上手になりました!
♢♢♢
病院余暇活動は大成功でした。
プログラムは
①蛙の歌、輪唱。(これも二天使様の真似です。二天使様が楽しく歌われているので、つかみの曲として選びました)
皆様大変楽しんで手拍子しながら笑っておられました。
②演武。
これは打って変わって真面目な演目です。皆様の歓声で成功を感じました。
③讃美歌。例の曲です。
これも拍手喝采でした。二番の歌詞も違和感なく受け入れられたようです。輪唱と違うのは涙を流されている方々がいらしたことでしょう。私たちの歌が届いたようで私たちにも得るものがあった歌となりました。
二天使様は数日後にお戻りだそうです。
私たちが歌が上手になった分、二天使様も成長されてお戻りになるはずです。お会いできる日が今から楽しみです。
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