金に紫、茶に翡翠。〜癒しが世界を変えていく〜

かなえ

文字の大きさ
上 下
10 / 101
第二章

閑話 語彙力を増やしたいリゼル〜人類の語彙力に弟ルゼルが無言で挑戦してくる

しおりを挟む
 うちの弟妹が可愛い。
 妹のリディラは可愛いだけでなく頼りにもなる。物知りとかいうわけではないのだけど(4歳だしね)精神的に頼れる。
 そういうと兄として情けない気もするけど違う。違うのだよ。誰でも頼れる気にさせる『我が道を行く感』がものすごくある妹なのだ。
 しかも自分より好きな人を優先して考える優しさもある。妹素敵か。ユリアンに言わせると「好きな人優先というより、好きな人や物に前のめりで、好きな物見たさの…なんていうか…ちょっと怖さがある…まぁ、個性だよ」ということらしいけど、ちょっと私にはわからない。ただリディラは好きな物を語る時やたらと早口になる。そこも可愛いんだ。
 だから妹の可愛さを言葉にするとしたら「可愛くて優しくて頼もしい」って言える。
 だけど!弟のルゼルは…その可愛さを言葉にすることができない…自分の学びの足りなさが悔しくて泣ける。
 ルゼルの可愛さは「可愛い」だけでは足りないのだ。足りなさすぎるのだ。
 ルゼルは可愛い。くりくりの茶色の髪も、少し端が上がり気味の翡翠の目も、なのになぜかタレ目に見える仕草も、白くてふくふくの手も、パタパタ歩く足も、何より「あにゅーれ」って私を呼ぶ声もその時のお顔も。
 まだうまく話せないルゼルが、この可愛さを表現する言葉を見つけられる?みたいな感じで存在している。
 可愛い以外の可愛い言葉って何?可愛い以上の可愛い言葉って何?
 物知りのユリアンに聞いたら「私も最強に可愛いより上の言葉を知りたくてバトラーに聞いたんだけど、バトラーも知らないみたいだった」と困っていた。ユリアンより物知りのバトラーが知らないことなんてある⁉︎
 あの時はユリアンと2人で「私たちは弟の可愛さも言葉にできないふがいない兄だな」ってしょんぼりした。
 この前、マグヌス殿下と一緒に国王陛下の御前に行った時、国王陛下に「弟妹はどうしている?」と聞かれて本気で困った。ルゼルについて「可愛い以上に可愛いです」としか言えなかった。
 5歳だからこんな言い方で許されたけど、このままだと大人になってもルゼルのことは「可愛い以上に可愛いです」としか言えない。どうしよう。クイン家の嫡男としてカッコ悪くないかな?悪いよね…。でも、本当にピッタリの言葉がないんだ。

 結論。言葉の博士先生たちに新しい言葉を作ってもらう。
 もちろん、可愛いより上の可愛いって言葉だよ。

 大きくなって学園に入ったらそれをお願いすることを一番の目標にしよう。そのために今から沢山頑張って言葉の博士先生たちに会わせていただけるような立派な生徒になろう。

 待っててね、ルゼル。アニューレがルゼルにピッタリの言葉を見つけてあげるからね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

処理中です...