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第28話 乙女の秘密
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「若様、ご挨拶を」
俯いてしまった俺に、ベルが抑揚のない声で挨拶するよう促してきた。
「あ、すみません。――私はルドルフ・フォン・ヴォルフガングです。よろしくお願いします」
「はいよろしく」
俺は慌てながらも、少しばかり気張ってヴォルフガング式のボウアンドスクレイプで挨拶した。
すると、ヘクセは生あたかい目で俺を見ながら軽い挨拶を返してくる。
まああれだ、子豚な俺がカッコつけたところで、どうせ滑稽に映るんだろうから、あんな目になるよな。
自虐的なことを考えていた俺は、ベルに促されて着席する。
そして音もなくお茶を淹れたベルは、俺の向かいに座るヘクセの隣に腰掛けた。
ようやく会話の準備が整ったわけだが、俺はすぐにでも魔術について聞くつもりだった予定を変更する。
どうにもヘクセ自身に興味が湧いてしまい、彼女のことをもっと知りたくなっていたのだ。
「ヘクセさんに質問したい――」
「ああ、ヘクセでいいわよ。あたしは貴族じゃないし、むしろこっちが畏まらないといけない身分だもの。でもさー、あたしは自由気ままな冒険者だから、堅苦しいのは苦手なのよねー。だから貴族であるベルともこんな感じで、ベルも気にしてないの。もしかしてルドルフくんは、そーゆーの気にしちゃう感じ?」
悪びれることなく俺の言葉を遮ったヘクセは、物凄くマイペースな人だった。
「私は気にしてませんよ。なんでしたら、私のこともルドルフと呼び捨てにしていただいてもかまいませんし」
「ベルはともかく、ルドルフくんは大貴族の嫡子様だし、流石にちょっとね。だからあたしなりに譲歩して、ルドルフ”くん”って呼んでるわけ。――それと、あたしがこんな言葉遣いだから、ルドルフくんも普段使いの喋り方にしてよ」
「わかりまし……わかったよ」
「そうそう」
胸が無い割りに妙な大人っぽさを醸し出しているヘクセは、子どもっぽい可愛らしさを内包しているため、得も言えぬ不思議な笑顔で俺の心をほんわかとさせてくれた。
「さて、早速なんだけど、魔術についてお話し……する前に、オドと魔力の測定をしよっか」
「え? あ、はい……」
俺としては、もう少しヘクセ自身について知りたかったのだが、既に顔合わせの挨拶は終わっていたようで、とっとと本題に突入するようだ。
とはいえ、魔術は俺も待ち焦がれていたのだ、否はない。
ヘクセについては、また別の機会に聞けばいいのだから。
「そうだ。先に言っておくけど、ルドルフくんは魔術が使えない可能性が高いよ」
「へー、俺は魔術を使えない可能性が高いんだ…………えぇぇぇぇーー! なにそれ?! そんなの初耳なんだけど!」
魔術について語られるより先に、前置きで告げられた『魔術が使えない可能性が高い』と言う想定外の言葉に、俺はとてもではないが冷静でいられなかった。
「あくまで可能性の話で、実際のところはこれから調べるから、少し落ち着いてくれないかなー」
混乱する俺を宥めるヘクセは、苦笑いを浮かべていた。
「測定した結果、『ルドルフくんは魔術が使えません』って言われたら、大ダメージを負っちゃうでしょ? だから事前に、心の準備をする時間を作ったんだよ」
「既に使えないって言われてるも同然だし……」
「いやいや、もしかしたら使えるかもしれないでしょ? そしたら逆に、『使えてラッキー』ってなるじゃない」
ヘクセは俺のことを思って言ってくれているのだろう。
しかし現状の俺は、”これでもか”とばかりに落ち込んでいる。
使えたらラッキーというのも、使えないことを前提としているからこそ出る言葉だ。とてもではないが、期待などできるはずもない。
「ほらほら、そんなに落ち込まない」
「はぁ」
「じゃあ、掌をあたしに向けて両手を前に突き出してみて」
「これでいい?」
気乗りしない俺だったが、ヘクセの言われるままに手を突き出した。
「ベル、このテーブルどかすの手伝って」
先に片付けておけばいいものを、俺に手を突き出させた後にテーブルを動かす手際の悪さに、俺はちょっとだけイラッとしてしまう。
だが、ヘクセは俺の感情などどこ吹く風で、ひと仕事終えて満足したかのような清々しい表情で俺の前に立った。
「ルドルフくん、ご機嫌斜めでしょ?」
「そんなことないし」
苛立ちが表情に出てしまったのだろう。
そのことをヘクセに指摘された俺は、咄嗟に否定の言葉を吐いていた。
「まあいいわ。それじゃあ、これから魔力巡りを始めるわよ」
「魔力巡り?」
聞き慣れない言葉に、思わずオウム返しをしてしまった。
「こうやって掌を合わせて、あたしの魔力をルドルフくんの体内に巡らせるの」
言葉どおり、俺の掌に自分の掌を合わせてきたヘクセが、何やらボソボソとつぶやき始めた。
すると不意に、体中がゾワリとする感覚に見舞われる。
きっとそれがヘクセの魔力なのだろうが、その感覚は正直”不快”であった。
「なるほどね」
短く一言だけつぶやいたヘクセは、すぐに掌を離すと、う~んと唸りだす。
俺は訳も分からず、そんなヘクセをただ見上げる。
「結論から言うね」
腕を組んで顎に手を添え、しばらく唸っていたヘクセが唐突にそんなことを言い出した。
俺はゴクリとツバを飲み込み、続いて出てくる言葉を待つ。
「たぶんだけど、魔術は使えると思うよ」
「ま、マジでっ?!」
「あー、でも凄く大変で、使えるようになるのは当分先になっちゃうかなー」
「それでも使えるようになるんでしょ?!」
すぐには使えないにしろ、魔術を使えると言われたことで、俺のテンションはみるみる上がった。
「使える可能性はあるよ。絶対とは言い切れないけど……」
「そうなんだ……。でも、使える可能性はあるんだよね?」
「一応あるね」
「そっか」
絶対ではないと言われ、一気にテンションが下がってしまったが、可能性がないわけではない。
ならば、使えるようになるまで努力するばいいだけの話。
「とりあえず説明するよ」
「あ、はい、お願いします」
「その前に、テーブルを戻そっか」
「…………」
ビックリするほどマイペースなヘクセは、のんきにテーブルを戻すと元々座っていたソファーに腰を下ろした。
ベルは何も言わずにカップを下げ、新しいお茶を淹れて各人の前に音もなく置くと、やはりヘクセの隣に座る。
その様子を見て、ようやく準備が整ったことを察した俺は、両膝の上に肘を置き、前のめりでヘクセからの説明を待つ。
「端的に言うと、ルドルフくんが魔力操作が出来るか否か。これだけが問題なの」
淹れ直されたお茶で軽く喉を湿らせたヘクセは、カップをソーサーに下ろしてそう言ってきた。
端的と言ったとおり、手短に問題点を告げてきたのだが、如何せん端折り過ぎで俺には意味がわからない。
「流石にもう少し説明してほしいんだけど」
俺は率直な気持ちを伝えた。
するとヘクセは、『だよね』と言わんばかりに笑みを浮かべ、ちゃんと説明する気があることを伝えてくる。
ベルは横目でヘクセを見て、やれやれといった表情だ。
「魔術の基本は魔力を錬成し、錬成した魔力を操作する。これが大前提なの。でもルドルフくんは持病というか体質の影響で、無意識に魔力を錬成……ではなく生成しているの」
「錬成と生成では何が違うの?」
「魔力は体内のオドと外気から取り込んだマナを練り合わせて作り出すの」
そう口にしたヘクセは、大きく開いた胸元に手を入れ、そこから墨と硯を取り出した。
「え、なにそれ?」
「墨と硯よ」
「そうじゃなくて、なんでそんな所からそんな物が出てくるんだよ?」
もしヘクセが巨乳なら、『お前の胸の谷間はアイテムボックスかよ!』という、お約束的なあるあるツッコミができる。
しかしながら、ヘクセの胸は悲しいくらいに平らだ。それではツッコミを入れるどころか、普通に質問してしまうのは仕方のないことだろう。
「これは乙女の秘密よ」
「まあ、秘密なら無理には聞かないけど……」
釈然としない気持ちながらも、俺はヘクセの言葉を聞き入れた。
俯いてしまった俺に、ベルが抑揚のない声で挨拶するよう促してきた。
「あ、すみません。――私はルドルフ・フォン・ヴォルフガングです。よろしくお願いします」
「はいよろしく」
俺は慌てながらも、少しばかり気張ってヴォルフガング式のボウアンドスクレイプで挨拶した。
すると、ヘクセは生あたかい目で俺を見ながら軽い挨拶を返してくる。
まああれだ、子豚な俺がカッコつけたところで、どうせ滑稽に映るんだろうから、あんな目になるよな。
自虐的なことを考えていた俺は、ベルに促されて着席する。
そして音もなくお茶を淹れたベルは、俺の向かいに座るヘクセの隣に腰掛けた。
ようやく会話の準備が整ったわけだが、俺はすぐにでも魔術について聞くつもりだった予定を変更する。
どうにもヘクセ自身に興味が湧いてしまい、彼女のことをもっと知りたくなっていたのだ。
「ヘクセさんに質問したい――」
「ああ、ヘクセでいいわよ。あたしは貴族じゃないし、むしろこっちが畏まらないといけない身分だもの。でもさー、あたしは自由気ままな冒険者だから、堅苦しいのは苦手なのよねー。だから貴族であるベルともこんな感じで、ベルも気にしてないの。もしかしてルドルフくんは、そーゆーの気にしちゃう感じ?」
悪びれることなく俺の言葉を遮ったヘクセは、物凄くマイペースな人だった。
「私は気にしてませんよ。なんでしたら、私のこともルドルフと呼び捨てにしていただいてもかまいませんし」
「ベルはともかく、ルドルフくんは大貴族の嫡子様だし、流石にちょっとね。だからあたしなりに譲歩して、ルドルフ”くん”って呼んでるわけ。――それと、あたしがこんな言葉遣いだから、ルドルフくんも普段使いの喋り方にしてよ」
「わかりまし……わかったよ」
「そうそう」
胸が無い割りに妙な大人っぽさを醸し出しているヘクセは、子どもっぽい可愛らしさを内包しているため、得も言えぬ不思議な笑顔で俺の心をほんわかとさせてくれた。
「さて、早速なんだけど、魔術についてお話し……する前に、オドと魔力の測定をしよっか」
「え? あ、はい……」
俺としては、もう少しヘクセ自身について知りたかったのだが、既に顔合わせの挨拶は終わっていたようで、とっとと本題に突入するようだ。
とはいえ、魔術は俺も待ち焦がれていたのだ、否はない。
ヘクセについては、また別の機会に聞けばいいのだから。
「そうだ。先に言っておくけど、ルドルフくんは魔術が使えない可能性が高いよ」
「へー、俺は魔術を使えない可能性が高いんだ…………えぇぇぇぇーー! なにそれ?! そんなの初耳なんだけど!」
魔術について語られるより先に、前置きで告げられた『魔術が使えない可能性が高い』と言う想定外の言葉に、俺はとてもではないが冷静でいられなかった。
「あくまで可能性の話で、実際のところはこれから調べるから、少し落ち着いてくれないかなー」
混乱する俺を宥めるヘクセは、苦笑いを浮かべていた。
「測定した結果、『ルドルフくんは魔術が使えません』って言われたら、大ダメージを負っちゃうでしょ? だから事前に、心の準備をする時間を作ったんだよ」
「既に使えないって言われてるも同然だし……」
「いやいや、もしかしたら使えるかもしれないでしょ? そしたら逆に、『使えてラッキー』ってなるじゃない」
ヘクセは俺のことを思って言ってくれているのだろう。
しかし現状の俺は、”これでもか”とばかりに落ち込んでいる。
使えたらラッキーというのも、使えないことを前提としているからこそ出る言葉だ。とてもではないが、期待などできるはずもない。
「ほらほら、そんなに落ち込まない」
「はぁ」
「じゃあ、掌をあたしに向けて両手を前に突き出してみて」
「これでいい?」
気乗りしない俺だったが、ヘクセの言われるままに手を突き出した。
「ベル、このテーブルどかすの手伝って」
先に片付けておけばいいものを、俺に手を突き出させた後にテーブルを動かす手際の悪さに、俺はちょっとだけイラッとしてしまう。
だが、ヘクセは俺の感情などどこ吹く風で、ひと仕事終えて満足したかのような清々しい表情で俺の前に立った。
「ルドルフくん、ご機嫌斜めでしょ?」
「そんなことないし」
苛立ちが表情に出てしまったのだろう。
そのことをヘクセに指摘された俺は、咄嗟に否定の言葉を吐いていた。
「まあいいわ。それじゃあ、これから魔力巡りを始めるわよ」
「魔力巡り?」
聞き慣れない言葉に、思わずオウム返しをしてしまった。
「こうやって掌を合わせて、あたしの魔力をルドルフくんの体内に巡らせるの」
言葉どおり、俺の掌に自分の掌を合わせてきたヘクセが、何やらボソボソとつぶやき始めた。
すると不意に、体中がゾワリとする感覚に見舞われる。
きっとそれがヘクセの魔力なのだろうが、その感覚は正直”不快”であった。
「なるほどね」
短く一言だけつぶやいたヘクセは、すぐに掌を離すと、う~んと唸りだす。
俺は訳も分からず、そんなヘクセをただ見上げる。
「結論から言うね」
腕を組んで顎に手を添え、しばらく唸っていたヘクセが唐突にそんなことを言い出した。
俺はゴクリとツバを飲み込み、続いて出てくる言葉を待つ。
「たぶんだけど、魔術は使えると思うよ」
「ま、マジでっ?!」
「あー、でも凄く大変で、使えるようになるのは当分先になっちゃうかなー」
「それでも使えるようになるんでしょ?!」
すぐには使えないにしろ、魔術を使えると言われたことで、俺のテンションはみるみる上がった。
「使える可能性はあるよ。絶対とは言い切れないけど……」
「そうなんだ……。でも、使える可能性はあるんだよね?」
「一応あるね」
「そっか」
絶対ではないと言われ、一気にテンションが下がってしまったが、可能性がないわけではない。
ならば、使えるようになるまで努力するばいいだけの話。
「とりあえず説明するよ」
「あ、はい、お願いします」
「その前に、テーブルを戻そっか」
「…………」
ビックリするほどマイペースなヘクセは、のんきにテーブルを戻すと元々座っていたソファーに腰を下ろした。
ベルは何も言わずにカップを下げ、新しいお茶を淹れて各人の前に音もなく置くと、やはりヘクセの隣に座る。
その様子を見て、ようやく準備が整ったことを察した俺は、両膝の上に肘を置き、前のめりでヘクセからの説明を待つ。
「端的に言うと、ルドルフくんが魔力操作が出来るか否か。これだけが問題なの」
淹れ直されたお茶で軽く喉を湿らせたヘクセは、カップをソーサーに下ろしてそう言ってきた。
端的と言ったとおり、手短に問題点を告げてきたのだが、如何せん端折り過ぎで俺には意味がわからない。
「流石にもう少し説明してほしいんだけど」
俺は率直な気持ちを伝えた。
するとヘクセは、『だよね』と言わんばかりに笑みを浮かべ、ちゃんと説明する気があることを伝えてくる。
ベルは横目でヘクセを見て、やれやれといった表情だ。
「魔術の基本は魔力を錬成し、錬成した魔力を操作する。これが大前提なの。でもルドルフくんは持病というか体質の影響で、無意識に魔力を錬成……ではなく生成しているの」
「錬成と生成では何が違うの?」
「魔力は体内のオドと外気から取り込んだマナを練り合わせて作り出すの」
そう口にしたヘクセは、大きく開いた胸元に手を入れ、そこから墨と硯を取り出した。
「え、なにそれ?」
「墨と硯よ」
「そうじゃなくて、なんでそんな所からそんな物が出てくるんだよ?」
もしヘクセが巨乳なら、『お前の胸の谷間はアイテムボックスかよ!』という、お約束的なあるあるツッコミができる。
しかしながら、ヘクセの胸は悲しいくらいに平らだ。それではツッコミを入れるどころか、普通に質問してしまうのは仕方のないことだろう。
「これは乙女の秘密よ」
「まあ、秘密なら無理には聞かないけど……」
釈然としない気持ちながらも、俺はヘクセの言葉を聞き入れた。
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