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九、任務遂行
十四
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手付けの回収などどうでもよかった美雨は、凛玲の接触を一切遮断した。
美雨から歩み寄ってくれなければ、女官である凛玲にとってはどうすることもできなかった。
ちょうど知りすぎた青静を片付けようと思っていた美雨は、凛玲毒殺の罪を着せれば一石二鳥だと考えた。
美雨は毒味役という名目で、凛玲を城に連れてきた。
美雨の部屋に入るなり、凛玲は懐に忍ばせていた包丁を出し、美雨に襲いかかった。
しかし、その刃が美雨に届くことはなく、宦官たちに羽交締めにされた凛玲は、毒入りの饅頭を無理やり食わされた。
美雨はその様子を、椅子に座り、花茶を飲みながら、微笑んで眺めていた。
そして宦官が暁嵐に報告に出かけた後、椅子を引っくり返し、床に蹲って悲しみを演じたのだ。
そうして美雨は、まんまと凛玲を殺害し、青静に罪を被せた。
だが、美雨に罪の意識などない。
皇妃さえ平気で殺すのだ、女官の命など塵に等しい。
仮に暗殺が成功していたとしても、同じことをしただろう。
美雨ほどの権力者なら韻からの報復も恐るるに足らず。つまり、最初から証拠隠滅のために、凛玲を殺す気だったのだ。
「……ああ、雲嵐、次は一体いつ……」
美雨は鏡に手をあて、ため息混じりに呟く。
その瞳には、雲嵐しか映っていない。
「このところあまり体調がよくないと言って……心配だわ、あなたは繊細で優しい人だから……」
雲嵐を信じている美雨は、それが自身を避けるための口実だとは思わなかった。
「大丈夫よ、雲嵐、待っていてね、必ずあなたに、最高の贈り物をしてあげるから……」
美雨が人差し指を咥え、不適な笑みを浮かべた時だった。
――コンコン。
部屋の扉を叩く音に、美雨は素早く振り返る。
――コンコン。
再度繰り返される音に、美雨の表情がぶわぁと明るくなる。
もしやこれは、雲嵐からの誘いではないかと思ったからだ。
新しい女官にも、雲嵐とのことは話してある。脅しておいたので口外することはないだろう。もし怪しい動きをすれば、また殺せばいいだけ。
きっとその女官が、雲嵐からの手紙でも預かってきたに違いない。
そう考えた美雨は、期待に胸を弾ませながら、軽い足取りで扉に向かった。そして取手を掴み、扉を押し開いたのだが――。
そこには美雨の期待していた光景はなかった。
美雨から歩み寄ってくれなければ、女官である凛玲にとってはどうすることもできなかった。
ちょうど知りすぎた青静を片付けようと思っていた美雨は、凛玲毒殺の罪を着せれば一石二鳥だと考えた。
美雨は毒味役という名目で、凛玲を城に連れてきた。
美雨の部屋に入るなり、凛玲は懐に忍ばせていた包丁を出し、美雨に襲いかかった。
しかし、その刃が美雨に届くことはなく、宦官たちに羽交締めにされた凛玲は、毒入りの饅頭を無理やり食わされた。
美雨はその様子を、椅子に座り、花茶を飲みながら、微笑んで眺めていた。
そして宦官が暁嵐に報告に出かけた後、椅子を引っくり返し、床に蹲って悲しみを演じたのだ。
そうして美雨は、まんまと凛玲を殺害し、青静に罪を被せた。
だが、美雨に罪の意識などない。
皇妃さえ平気で殺すのだ、女官の命など塵に等しい。
仮に暗殺が成功していたとしても、同じことをしただろう。
美雨ほどの権力者なら韻からの報復も恐るるに足らず。つまり、最初から証拠隠滅のために、凛玲を殺す気だったのだ。
「……ああ、雲嵐、次は一体いつ……」
美雨は鏡に手をあて、ため息混じりに呟く。
その瞳には、雲嵐しか映っていない。
「このところあまり体調がよくないと言って……心配だわ、あなたは繊細で優しい人だから……」
雲嵐を信じている美雨は、それが自身を避けるための口実だとは思わなかった。
「大丈夫よ、雲嵐、待っていてね、必ずあなたに、最高の贈り物をしてあげるから……」
美雨が人差し指を咥え、不適な笑みを浮かべた時だった。
――コンコン。
部屋の扉を叩く音に、美雨は素早く振り返る。
――コンコン。
再度繰り返される音に、美雨の表情がぶわぁと明るくなる。
もしやこれは、雲嵐からの誘いではないかと思ったからだ。
新しい女官にも、雲嵐とのことは話してある。脅しておいたので口外することはないだろう。もし怪しい動きをすれば、また殺せばいいだけ。
きっとその女官が、雲嵐からの手紙でも預かってきたに違いない。
そう考えた美雨は、期待に胸を弾ませながら、軽い足取りで扉に向かった。そして取手を掴み、扉を押し開いたのだが――。
そこには美雨の期待していた光景はなかった。
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