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八、戒めを解き放つ命令
七
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「そう……その通りよ、凛玲は請負人……直接依頼人と取り引きをして、円滑に任務が遂行できるよう、建物などの下調べをするのが勤め。私は実行人で、標的に直接手を下すのが勤め……凛玲からの手紙で依頼を受け、宮中を把握してから襲撃したのよ」
「手紙にも検問があるじゃろ、どうやって外部と連絡を取ったんじゃ」
「私たちにしかわからない隠語を使っているの、知らない人間からしたら、ただの世間話でもしている文にしか見えないわ」
「ほぉ、なるほどのぉ……」
顎に手をあて呟く暁嵐からは、嫌悪の色は窺えない。
むしろ、感心するような反応に、翠玉はある質問をしてみたくなった。したところで、なんにもならないとわかっていながら。
「もしも私が、先に請負人のことを……凛玲のことを話していたら、あなたは、凛玲を殺さなかった……?」
暁嵐は一度視線を宙にやると、少し思考を巡らせた後、再び翠玉を見た。
「なんらかの対処は必要であろうが、命を取ることはなかったであろうな」
「なぜ……?」
「最初にも言ったであろう、なにもお前たちが好きこのんでやっておることではない、本物の悪人は、自らの手を汚さず人を殺めようとする、首謀者じゃ」
あまりに物分かりがいい。よすぎる暁嵐に、翠玉は思わず、綺麗事――そう感じてしまう。
ならば真実を突きつけても、冷静を保っていられるのだろうか。
私を葬って、すべてなかったことにしないのだろうか。
その太陽のような眩しさが、影で歪むことはないのだろうか。
翠玉はそんなことを考えた。
暁嵐の真っ直ぐな清らかさが、翠玉には愛おしくも妬ましかった。
この感情が憧れだということを、翠玉はまだ知らない。
「……あなたは、私を愛していると言ったわね」
「そうじゃ、この想いに嘘偽りはない」
「本当にそう? ただの物珍しさ、もしくは哀れみを愛と勘違いしてるんじゃない?」
翠玉の試すような言い方に、訝しげな表情をする暁嵐。
「……でなければ、私が今から言うことを信じられる?」
翠玉は不思議な気持ちだった。
真実を話して、暁嵐がどんな反応をするのか。
聖人君子のような顔をグチャグチャに崩してやりたい気持ちと、決して乱れないでいてほしいという両極端な気持ちが混在し、葛藤していた。
そして、その結果は――。
「手紙にも検問があるじゃろ、どうやって外部と連絡を取ったんじゃ」
「私たちにしかわからない隠語を使っているの、知らない人間からしたら、ただの世間話でもしている文にしか見えないわ」
「ほぉ、なるほどのぉ……」
顎に手をあて呟く暁嵐からは、嫌悪の色は窺えない。
むしろ、感心するような反応に、翠玉はある質問をしてみたくなった。したところで、なんにもならないとわかっていながら。
「もしも私が、先に請負人のことを……凛玲のことを話していたら、あなたは、凛玲を殺さなかった……?」
暁嵐は一度視線を宙にやると、少し思考を巡らせた後、再び翠玉を見た。
「なんらかの対処は必要であろうが、命を取ることはなかったであろうな」
「なぜ……?」
「最初にも言ったであろう、なにもお前たちが好きこのんでやっておることではない、本物の悪人は、自らの手を汚さず人を殺めようとする、首謀者じゃ」
あまりに物分かりがいい。よすぎる暁嵐に、翠玉は思わず、綺麗事――そう感じてしまう。
ならば真実を突きつけても、冷静を保っていられるのだろうか。
私を葬って、すべてなかったことにしないのだろうか。
その太陽のような眩しさが、影で歪むことはないのだろうか。
翠玉はそんなことを考えた。
暁嵐の真っ直ぐな清らかさが、翠玉には愛おしくも妬ましかった。
この感情が憧れだということを、翠玉はまだ知らない。
「……あなたは、私を愛していると言ったわね」
「そうじゃ、この想いに嘘偽りはない」
「本当にそう? ただの物珍しさ、もしくは哀れみを愛と勘違いしてるんじゃない?」
翠玉の試すような言い方に、訝しげな表情をする暁嵐。
「……でなければ、私が今から言うことを信じられる?」
翠玉は不思議な気持ちだった。
真実を話して、暁嵐がどんな反応をするのか。
聖人君子のような顔をグチャグチャに崩してやりたい気持ちと、決して乱れないでいてほしいという両極端な気持ちが混在し、葛藤していた。
そして、その結果は――。
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