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七、真実
七
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「はい、参りました、雲嵐様に誘われて」
翠玉はハッキリと、そしてにこやかに答えた。
すると美雨は穏やかな下がり眉をピクリと動かした。
わかってはいても、他の女の口から、雲嵐に誘われたと聞くのが嫌なのだ。
「そう……雲嵐と……」
「とてもお美しい殿方で驚きました、陛下とはまた違った魅力のあるお方でございますね、物腰も柔らかくて……とても優しくしていただきました」
翠玉は身体をしならせ、頬に手をあて、ため息混じりに述べた。
まるで雲嵐と特別ななにかがあったような、妄想を駆り立てるような、うっとりとした言い方であった。
それを見た美雨から、先ほどまでの余裕の笑みが消えた。
かろうじて口角は上げているが、目が笑っていない。
わざと煽る翠玉に、静かな怒りを燃やす美雨。
そばで二人を見ていた枕里は、ハラハラして気が気ではなかった。
「まさかあなた……雲嵐と、なにかあったのではないでしょうね?」
「なにか……とは?」
口元に人差し指をあて、首を傾げてみせる翠玉。見事なとぼけっぷりに、美雨の顔が引き攣る。
「私は雲嵐様と、楽しい時間を過ごさせていただいただけでございます」
揃えた両手を膝に置いた翠玉は、余裕の表情で答える。
すると美雨も負けじと、平静を装った。
「なら、いいのだけれど……雲嵐はあれだけ美丈夫ゆえ、女を惹きつける、だから、もしもよからぬ仲になってはと、心配したのです」
「まさか、陛下の弟君であられる雲嵐様が、陛下を裏切るような、愚かなことはなさらないでしょう。姦通などという穢らわしいことは、まともな人間のすることではございません……皇后様も、そうお考えでございましょう?」
大袈裟なほど感情を込める……演技をしながら語りかける翠玉。
姦通……とは、婚姻関係にある相手以外と、肉体関係を持つことだ。皇帝の後宮は別であるし、雲嵐はまだ未婚のため、これには該当しない。
つまりこの場合、翠玉が指しているのは、美雨のことだ。案に、お前は穢らわしいと言っているのだ。
翠玉はハッキリと、そしてにこやかに答えた。
すると美雨は穏やかな下がり眉をピクリと動かした。
わかってはいても、他の女の口から、雲嵐に誘われたと聞くのが嫌なのだ。
「そう……雲嵐と……」
「とてもお美しい殿方で驚きました、陛下とはまた違った魅力のあるお方でございますね、物腰も柔らかくて……とても優しくしていただきました」
翠玉は身体をしならせ、頬に手をあて、ため息混じりに述べた。
まるで雲嵐と特別ななにかがあったような、妄想を駆り立てるような、うっとりとした言い方であった。
それを見た美雨から、先ほどまでの余裕の笑みが消えた。
かろうじて口角は上げているが、目が笑っていない。
わざと煽る翠玉に、静かな怒りを燃やす美雨。
そばで二人を見ていた枕里は、ハラハラして気が気ではなかった。
「まさかあなた……雲嵐と、なにかあったのではないでしょうね?」
「なにか……とは?」
口元に人差し指をあて、首を傾げてみせる翠玉。見事なとぼけっぷりに、美雨の顔が引き攣る。
「私は雲嵐様と、楽しい時間を過ごさせていただいただけでございます」
揃えた両手を膝に置いた翠玉は、余裕の表情で答える。
すると美雨も負けじと、平静を装った。
「なら、いいのだけれど……雲嵐はあれだけ美丈夫ゆえ、女を惹きつける、だから、もしもよからぬ仲になってはと、心配したのです」
「まさか、陛下の弟君であられる雲嵐様が、陛下を裏切るような、愚かなことはなさらないでしょう。姦通などという穢らわしいことは、まともな人間のすることではございません……皇后様も、そうお考えでございましょう?」
大袈裟なほど感情を込める……演技をしながら語りかける翠玉。
姦通……とは、婚姻関係にある相手以外と、肉体関係を持つことだ。皇帝の後宮は別であるし、雲嵐はまだ未婚のため、これには該当しない。
つまりこの場合、翠玉が指しているのは、美雨のことだ。案に、お前は穢らわしいと言っているのだ。
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