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第七章、嘘みたいな現実
六
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数日後の明け方、あたしたちは籠のような乗り物に乗せられ、海に連れていかれた。牢屋にいた時と同じ粗末な服装で、背中に回した両腕は縄で束ねられていた。
乗り物から降りると、臣下に縄を引かれ、砂浜を歩く。
岸辺についた木造の小さな船。それに乗る頃には、朝焼けは消え、青空が広がっていた。
ここに来た時は、殺されるか、故郷に強制送還されるか、そのどちらかしかないと思っていた。まさか、こんな形で国を出ることになるなんて。
船頭が乗り込むと、船は音を立てて軋む。迎えられた時の船との違いに、もう自分は罪人なのだと再認識させられる。
呉の二人と向かい合う形で座ったあたしは、そっと砂浜に目をやる。
いつの間にかたくさんの人が集まっていた。見たことがある顔が多かったから、ある程度地位のある人たちなのだろう。みんな、罪人に刑が執行させるのを見届けに来たんだ。
あたしはその中に、あのお方を探す。もう言葉を交わすことさえ許されないけど、最後に一目でも、お姿を拝見したかった。
その願いが通じたのか、遠くから輿がやって来るのが見えた。豪奢な乗り物が砂浜に到着すると、他の人たちはみんな一歩引いて、姿勢を正して礼をする。
輿から現れたのは、あたしが探していたその人だった。輿は好きじゃないはずなのに、今日は気が変わったのだろうか。
以前と変わらない立派な衣を纏い、砂浜に降り立った彼は、仮面をつけた状態で船の方を見た。
瞬間、あたしは俯いた。遠巻きでも、目を合わせてはいけないと思った。目が覚めてから、豪龍様に会うのはこれが初めてだった。会いたくて仕方なかったのに、いざ目の前にすると、感情が溢れてしまいそうで怖くなった。
ジャリと砂を踏む足音がする。臣下の一人が前に出て、手にした紙を読み上げる。
「罪状、ユニからの派遣者であるピケは、癒し人であることを偽った上、現皇帝である豪龍様を惑わせた、この者の人権はユニから壮に移っているため、当国が裁くものとする。また、呉の雹華、雷華は、前皇帝である浩然様を呪い殺したミハイロに加担した。我が国の父である皇帝陛下を貶める暴挙は、決して許されるものではない。よって、皇帝陛下の命に従い、ここに罰を下すものとする」
それを聞いて、ミハイロさんが浩然様を殺めたことになっていると知った。
あくまで現皇帝である豪龍様を守る結末。その方が丸く収まるし、国のためにもなるのだから当然か。
ああ、いよいよなんだ。どんな島に流れ着くのだろう。暑いかな、寒いかな、きっと汚くてひもじい思いをしながら、最期の時を迎えのだろう。いや、その島に着くまでに、船が沈む可能性もある。
そんなことをぼんやり考えていると、また別の足音が聞こえてくる。
今度はさっきと違う、知ってはいるけど、聞き慣れたものという感じがしなかった。
船のすぐそば、視界に入るのは豪龍様の足。いつもの履き物だからすぐにわかった。
どうして、こんなおそばに――?
乗り物から降りると、臣下に縄を引かれ、砂浜を歩く。
岸辺についた木造の小さな船。それに乗る頃には、朝焼けは消え、青空が広がっていた。
ここに来た時は、殺されるか、故郷に強制送還されるか、そのどちらかしかないと思っていた。まさか、こんな形で国を出ることになるなんて。
船頭が乗り込むと、船は音を立てて軋む。迎えられた時の船との違いに、もう自分は罪人なのだと再認識させられる。
呉の二人と向かい合う形で座ったあたしは、そっと砂浜に目をやる。
いつの間にかたくさんの人が集まっていた。見たことがある顔が多かったから、ある程度地位のある人たちなのだろう。みんな、罪人に刑が執行させるのを見届けに来たんだ。
あたしはその中に、あのお方を探す。もう言葉を交わすことさえ許されないけど、最後に一目でも、お姿を拝見したかった。
その願いが通じたのか、遠くから輿がやって来るのが見えた。豪奢な乗り物が砂浜に到着すると、他の人たちはみんな一歩引いて、姿勢を正して礼をする。
輿から現れたのは、あたしが探していたその人だった。輿は好きじゃないはずなのに、今日は気が変わったのだろうか。
以前と変わらない立派な衣を纏い、砂浜に降り立った彼は、仮面をつけた状態で船の方を見た。
瞬間、あたしは俯いた。遠巻きでも、目を合わせてはいけないと思った。目が覚めてから、豪龍様に会うのはこれが初めてだった。会いたくて仕方なかったのに、いざ目の前にすると、感情が溢れてしまいそうで怖くなった。
ジャリと砂を踏む足音がする。臣下の一人が前に出て、手にした紙を読み上げる。
「罪状、ユニからの派遣者であるピケは、癒し人であることを偽った上、現皇帝である豪龍様を惑わせた、この者の人権はユニから壮に移っているため、当国が裁くものとする。また、呉の雹華、雷華は、前皇帝である浩然様を呪い殺したミハイロに加担した。我が国の父である皇帝陛下を貶める暴挙は、決して許されるものではない。よって、皇帝陛下の命に従い、ここに罰を下すものとする」
それを聞いて、ミハイロさんが浩然様を殺めたことになっていると知った。
あくまで現皇帝である豪龍様を守る結末。その方が丸く収まるし、国のためにもなるのだから当然か。
ああ、いよいよなんだ。どんな島に流れ着くのだろう。暑いかな、寒いかな、きっと汚くてひもじい思いをしながら、最期の時を迎えのだろう。いや、その島に着くまでに、船が沈む可能性もある。
そんなことをぼんやり考えていると、また別の足音が聞こえてくる。
今度はさっきと違う、知ってはいるけど、聞き慣れたものという感じがしなかった。
船のすぐそば、視界に入るのは豪龍様の足。いつもの履き物だからすぐにわかった。
どうして、こんなおそばに――?
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