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第六章、解放までの道
六
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「ピケ様……先ほどの会話……まさか、お一人でお出かけしようだなんて、考えられてませんよねーえ?」
「え? なんのことですか?」
隣を歩く雷華さんは、じとっと疑り深い目であたしを見てる。
もちろんあたしはしらをきる。豪龍様のためなら、演技だってしてみせる。
「いえ、なんでもないならいいですよー、まぁ、なにがあっても、私か雹華がおともしますけどねーぇ」
雷華さんがそう言った時、大階段から降りてくる彼の姿が目に入った。
赤いお城に戻る前に立ち止まって、その人の到着を待った。
「ピケ様、陛下からことづけを承っております」
こっちのきっかけはあたしが作ってもよかったのに、豪龍様が手を回してくれたみたいだ。
おかげでこれで、種蒔きが終わる。
「ミハイロさんっていつもお忙しそうですが、お一人で出かけたりすることはないんですか?」
あたしの前で足を止めたミハイロさんは、考える間も置かず答える。
「ありませんよ、特に休暇という概念も存在しませんし」
「そうなんですか、じゃあせっかく眺めのいい場所を知っていても、お月見を楽しむ暇もありませんね……今日は天気がいいので、きっと月が綺麗に見えるでしょうが」
緑の宝石みたいな瞳が、一瞬揺らいだ気がした。
ミハイロさんも、あの場所を知らないはずがない。そこで、前皇帝様を焼いたのだから。
「……そうですね、なかなかそのような余裕はありません」
「ですよね、あたしみたいに暇な人間なら、一人で行けますけど」
「ぜーったいにいけませんよっ、ピケ様!」
雷華さんからすかさず制止の声が飛んできて、あたしはあははと笑う。
「冗談ですよ、そんなこと豪龍様に頼んだりしませんから」
つまり、頼めば許される可能性が高いということ。
ミハイロさんも賢い人だ。きっと、あたしの今夜の動きを読んでくれることだろう。
「ところで、豪龍様からの伝言は?」
「ええ、なんでも、今宵の逢瀬は明日に回すと……」
「……やっぱり、豪龍様はあたしに甘いみたいですね」
そんな台詞を残すと、あたしは微笑んでミハイロさんの元を去った。
これで準備は整った。
恐らく、決まる、今宵……豪龍様の……あたしたちの、運命が――。
「え? なんのことですか?」
隣を歩く雷華さんは、じとっと疑り深い目であたしを見てる。
もちろんあたしはしらをきる。豪龍様のためなら、演技だってしてみせる。
「いえ、なんでもないならいいですよー、まぁ、なにがあっても、私か雹華がおともしますけどねーぇ」
雷華さんがそう言った時、大階段から降りてくる彼の姿が目に入った。
赤いお城に戻る前に立ち止まって、その人の到着を待った。
「ピケ様、陛下からことづけを承っております」
こっちのきっかけはあたしが作ってもよかったのに、豪龍様が手を回してくれたみたいだ。
おかげでこれで、種蒔きが終わる。
「ミハイロさんっていつもお忙しそうですが、お一人で出かけたりすることはないんですか?」
あたしの前で足を止めたミハイロさんは、考える間も置かず答える。
「ありませんよ、特に休暇という概念も存在しませんし」
「そうなんですか、じゃあせっかく眺めのいい場所を知っていても、お月見を楽しむ暇もありませんね……今日は天気がいいので、きっと月が綺麗に見えるでしょうが」
緑の宝石みたいな瞳が、一瞬揺らいだ気がした。
ミハイロさんも、あの場所を知らないはずがない。そこで、前皇帝様を焼いたのだから。
「……そうですね、なかなかそのような余裕はありません」
「ですよね、あたしみたいに暇な人間なら、一人で行けますけど」
「ぜーったいにいけませんよっ、ピケ様!」
雷華さんからすかさず制止の声が飛んできて、あたしはあははと笑う。
「冗談ですよ、そんなこと豪龍様に頼んだりしませんから」
つまり、頼めば許される可能性が高いということ。
ミハイロさんも賢い人だ。きっと、あたしの今夜の動きを読んでくれることだろう。
「ところで、豪龍様からの伝言は?」
「ええ、なんでも、今宵の逢瀬は明日に回すと……」
「……やっぱり、豪龍様はあたしに甘いみたいですね」
そんな台詞を残すと、あたしは微笑んでミハイロさんの元を去った。
これで準備は整った。
恐らく、決まる、今宵……豪龍様の……あたしたちの、運命が――。
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