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第二章、お近づきの朝食

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「ピケ様、大丈夫ですか?」
「ずいぶん、うなされていましたが」

 左右から聞こえる優しい声。
 ハキハキして聞き取りやすい、だけど少し高くて女性の声だってわかる。
 上体を起こして左右を確認すると、同じ顔の美女が二人、あたしを心配そうに覗き込んでいた。
 ――そうだ、あたし、昨日……壮に来て……。
 雹華さんと雷華さんの顔を見て、あたしはようやくここがユニじゃないことを思い出した。
 すると突然、恥ずかしくなってくる。 
 そして、怖くなる。
 なにかおかしなことを、口走ったのではないかと。

「……ご、ごめんなさい、あたし、寝ぼけてたみたいで」

 とりあえず謝ると、二人は顔を見合わせたけど、すぐにあたしに微笑みかけた。
 特になにも聞かれないみたいだ。

「さ、気を取り直して、湯浴みいたしましょっ」
「湯浴み……?」
「お風呂のことですよ、シャワー、バスタイム、の方が伝わりますか?」

 二人が手を貸してくれて、あたしは床から立ち上がる。なんでって、不思議そうな顔をしながら。

「ど、どうして、お風呂に……」
「本来は夜に入るものですが、昨夜はピケ様がお疲れのご様子でしたので、今朝に変更いたしました」
「ユニにお風呂はないのですか?」
「ありますけど、あまり入ったりしないので」

 ユニにも水道は通っているから、お風呂はあるけど、三日に一回くらいしか入らない。
 だけどそんなこと言ったら汚いって思われるかも。そう考えたから、それ以上詳しくは言わなかった。
 すると双子の一人が、すごく楽しそうにニッコリ笑った。

「そうですかーぁ、んでは、ここにいる間は毎日綺麗綺麗しましょうねーぇ!」
「……え、ええっ?」

 グイグイ手を引かれ、強引に連れていかれる。
 なんとなくわかってきた。
 この表情豊かで明るい方が雷華さん。

「どうぞ、ピケ様、こちらに遠慮はいりませんよ」

 そしてこの、丁寧な口調で落ち着いた雰囲気なのが雹華さん……だと思う。
 顔も背格好もまったく同じだけど、性格に多少の違いはあるみたいだ。
 こうしてあたしは、二人にあれよあれよと攫われた。
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