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第一章、初めて会った日

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 皇帝様の部屋の前には、案内の人が待機していた。
 扉から出てきたあたしを、横目でチラッと確認する。
 透明感のある、綺麗な緑の瞳だ。

「どうぞ、こちらへ」

 そう言って、歩き出した彼についていく。後ろを歩いていると、緩くウェーブした長い髪を、低い位置で束ねているのがわかった。
 薄暗い中でもわかる、金色の髪だ。
 壮国の人は、瞳の色はさまざまだけど、髪の色は黒だと聞いていた。
 皮膚の色は白くも黒くもなく、健康的な肌色だって。
 だけどこの人は、肌がとっても白いみたい。
 途中で人が入れ替わったのかな?
 いや、もしかしたら最初からいたのかも。
 朝からずっと緊張していて、人の顔を気にする余裕なんてなかったから。
 とりあえず今日を乗り切れたことで、ほんの少し気持ちが緩んだみたいだ。
 長い長い階段を下りて、来た道を戻る。
 案内の人が立ち止まったのは、あたしが最初に連れてこられた、角部屋の前だった。
 案内の人が扉を開けると、すぐに中の様子が違うことがわかる。
 さっきよりもずっと明るくて、人の気配がした。

「あっ、ちょうどよかった」
「今、お部屋が整ったところです」

 扉が開いたことに気づいた二人が、パッとこちらを振り返った。
 衣装はやっぱり上は白くて、下は深い青色の袴に、龍の刺繍が入っている。
 どうやらこの服装が、壮国にお仕えする人たちの正装みたい。今まで会った人は、みんな同じものを着ていたから。
 二人はタッタッとあたしに駆け寄って、綺麗にお辞儀をした。
 二人とも真っ黒な髪を二つにまとめて、高いところでお団子にしてる。可愛い。

「ユニ族の方ですね、お初にお目にかかります、私はうー雹華ひょうかと申します」
「私はうー雷華らいかです。陛下より、身の回りのお世話を仰せつかっております」

 身の回りのお世話なんて、自分でするものだと思ってた。
 他国の人……それも、ユニなんて小さな民族にも、気を回してくれるなんて。
 壮国の皇帝様は、ちゃんとしてる気がする。
 あれだ、礼儀ってやつを、きちんとわかってる。
 育ちがいいんだ。高い教育を受けてる。
 あたしなんかと違って。
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