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あふれる想い
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「そうか、そうか、そうなんだな、本当にいたんだな、まさか、こんな近くに、はは……だからか、その人をひれ伏せさせる残虐な雰囲気、混血の俺たちにはないそれは、わかるぞ、俺は、知ってるぞ」
狼狽しながら言葉を並べる圭太を、美汪は変わらず見下ろしたまま、穏花もその場から動けずにいた。
やがて圭太は鬼の首を取ったかのように、美汪を指差して言いのける。
「純血はなあ、加虐嗜好が強いんだよなぁ!? それも嫌いな相手にならまだわかる、けどそうじゃねえ、好きな相手に対する非道だ! 要するに好きであればあるほど痛ぶって悦に入るど変態だ!! 聞いたか穏花!? こんな奴に尽くしてたら、いつ殺されるかわからねえぞ!」
美汪は奥歯を噛みしめ、両手の拳を強く握った。
いつか穏花に伝えなくてはと思っていたことだった。しかし自分の口からはとても言えなかった美汪は、穏花にあの書物を貸した。そこに記された内容で、彼女が知ってくれたならと微かな期待を込めていたのだ。
完璧のように見える美汪の、唯一の欠点、弱味、恥部とも言える箇所を最も大切な人の前で暴露され、美汪は屈辱に黙り込むしかなかった。
――が、穏花は美汪とは正反対の思いだった。
好きであるほどいじめる、それはつまり……
――美汪が、私にひどくするのは、私のことを嫌いなんじゃ、なくて――――?
穏花の目の前は急に明るくなった。
彼女が美汪に辛く当たられるのは、自分が無神経に彼を怒らせるようなことをするから、自分のことが嫌いだから、そう勘違いしていた。
しかしその言動が好意から来るものだったなら、穏花はおかしなくらい、歓喜と安堵で満たされてしまった。
狼狽しながら言葉を並べる圭太を、美汪は変わらず見下ろしたまま、穏花もその場から動けずにいた。
やがて圭太は鬼の首を取ったかのように、美汪を指差して言いのける。
「純血はなあ、加虐嗜好が強いんだよなぁ!? それも嫌いな相手にならまだわかる、けどそうじゃねえ、好きな相手に対する非道だ! 要するに好きであればあるほど痛ぶって悦に入るど変態だ!! 聞いたか穏花!? こんな奴に尽くしてたら、いつ殺されるかわからねえぞ!」
美汪は奥歯を噛みしめ、両手の拳を強く握った。
いつか穏花に伝えなくてはと思っていたことだった。しかし自分の口からはとても言えなかった美汪は、穏花にあの書物を貸した。そこに記された内容で、彼女が知ってくれたならと微かな期待を込めていたのだ。
完璧のように見える美汪の、唯一の欠点、弱味、恥部とも言える箇所を最も大切な人の前で暴露され、美汪は屈辱に黙り込むしかなかった。
――が、穏花は美汪とは正反対の思いだった。
好きであるほどいじめる、それはつまり……
――美汪が、私にひどくするのは、私のことを嫌いなんじゃ、なくて――――?
穏花の目の前は急に明るくなった。
彼女が美汪に辛く当たられるのは、自分が無神経に彼を怒らせるようなことをするから、自分のことが嫌いだから、そう勘違いしていた。
しかしその言動が好意から来るものだったなら、穏花はおかしなくらい、歓喜と安堵で満たされてしまった。
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