17 / 142
棘病
17
しおりを挟む
しかし、次に美汪から出た台詞は、その恐怖心をほんの一瞬吹き飛ばした。
「君……棘病でしょ」
穏花は目を見開き、何か言いたげに口を動かした。
「……ど、どうして、それを!? ……な、何か、知ってるの……!?」
「わかるよ。それだけ匂っていれば、僕の嗅覚ならね。他の奴らには到底嗅ぎ分けられないだろうけど」
眉一つ動かさず、淡々と述べる美汪に、穏花の頭は混迷する。
「にお、い? 棘病、の……?」
「それ特有の花の匂いだ」
美汪が教室内で穏花を視線で射ていたのは、棘病を患っていると気がついたからだった。
「他の人にはわからない、って……どうして、黒川君にはわかるの? 黒川君は、もしかして、本当に」
吸血鬼、なの?
そう言おうとした穏花の声は美汪によって遮られる。
「棘病を治す方法を調べて、吸血族に血を吸われれば進行が止められるという記事を見た。そこに書いてあった吸血族の容姿や性質が僕に似ていたから後をつけた……というところかな」
まるで穏花とみちるのやり取りを見聞きしていたかのように、美汪は二人の行動を正確に当ててみせた。
なぜ、例の記事について知っているのか?
匂いだけで嗅ぎ分けられるほど、棘病に詳しいのか?
落ち着けば聞きたいことは山ほどあったが、今はそれどころではなかった。
「君……棘病でしょ」
穏花は目を見開き、何か言いたげに口を動かした。
「……ど、どうして、それを!? ……な、何か、知ってるの……!?」
「わかるよ。それだけ匂っていれば、僕の嗅覚ならね。他の奴らには到底嗅ぎ分けられないだろうけど」
眉一つ動かさず、淡々と述べる美汪に、穏花の頭は混迷する。
「にお、い? 棘病、の……?」
「それ特有の花の匂いだ」
美汪が教室内で穏花を視線で射ていたのは、棘病を患っていると気がついたからだった。
「他の人にはわからない、って……どうして、黒川君にはわかるの? 黒川君は、もしかして、本当に」
吸血鬼、なの?
そう言おうとした穏花の声は美汪によって遮られる。
「棘病を治す方法を調べて、吸血族に血を吸われれば進行が止められるという記事を見た。そこに書いてあった吸血族の容姿や性質が僕に似ていたから後をつけた……というところかな」
まるで穏花とみちるのやり取りを見聞きしていたかのように、美汪は二人の行動を正確に当ててみせた。
なぜ、例の記事について知っているのか?
匂いだけで嗅ぎ分けられるほど、棘病に詳しいのか?
落ち着けば聞きたいことは山ほどあったが、今はそれどころではなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
生き返った物置小屋の毒巫女は、月神様に攫われる
香木陽灯(旧:香木あかり)
キャラ文芸
あやかしと人が共存している国。
人々は神格と呼ばれるあやかしを信仰し、神格と話が出来る能力者の家系が影響力を高めていた。
八久雲(やくも)家もその一つ。
両親を亡くしたひな乃は、母方の親戚である八久雲家に仕えていた。
虐げられ、物置小屋で暮らす日々。
「毒巫女」と呼ばれる役目を押し付けられており、神事で毒を飲まされていた。
そんなある日、ひな乃宛に送り主不明の荷物が届く。
中には猛毒が入っており、ひな乃はそれを飲むように強いられ命を落とした。
――はずだった。
ひな乃が目を覚ますと、柊と名乗る男がいて……。
佐野千秋 エクセリオン社のジャンヌダルクと呼ばれた女
藤井ことなり
キャラ文芸
OLのサクセスストーリーです。
半年前、アメリカ本社で秘書をしていた主人公、佐野千秋(さの ちあき)
突然、日本支社の企画部企画3課の主任に異動してきたが、まわりには理由は知らされてなかった。
そして急にコンペの責任者となり、やったことの無い仕事に振り回される。
上司からの叱責、ライバル会社の妨害、そして次第に分かってきた自分の立場。
それが分かった時、千秋は反撃に出る!
社内、社外に仲間と協力者を増やしながら、立ち向かう千秋を楽しんでください。
キャラ文芸か大衆娯楽で迷い、大衆娯楽にしてましたが、大衆娯楽部門で1位になりましたので、そのままキャラ文芸コンテストにエントリーすることにしました。
同時エントリーの[あげは紅は はかないらしい]もよろしくお願いいたします。
表紙絵は絵師の森彗子さんの作品です
pixivで公開中
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
傍若無人な皇太子は、その言動で周りを振り回してきた
歩芽川ゆい
ホラー
頭は良いが、性格が破綻している王子、ブルスカメンテ。
その権力も用いて自分の思い通りにならないことなどこの世にはない、と思っているが、婚約者候補の一人、フェロチータ公爵令嬢アフリットだけは面会に来いと命令しても、病弱を理由に一度も来ない。
とうとうしびれをきらしたブルスカメンテは、フェロチータ公爵家に乗り込んでいった。
架空の国のお話です。
ホラーです。
子供に対しての残酷な描写も出てきます。人も死にます。苦手な方は避けてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる