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棘病

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「みっちゃん、その、大丈夫かな? 怖くて、どうしたらいいかわからなくて、学校まで来ちゃったけど……人にうつったりしないかな?」
「安心しなさい。そんなに感染力が高いならもっと有名になってるでしょ、珍しいから奇病なんだから」
「あ、そっか、う、うん……ねえ、みっちゃん、このこと誰にも言わないでね? おじさんやおばさんにも余計な心配かけたくないから」
「……人のことより自分の心配しなさいよ。もちろん、言ったりしないけどね」

 頭の回転が早いしっかり者のみちるは、おっとりとした穏花にとっていつでも心強い味方であった。

「……穏花、今からここで調べたことを話すから、落ち着いて聞いてね」
「わ、わかった」
「棘病は、かかる原因も治療法も不明で、謎が多い病気みたい。吐く花弁の色が濃くなって、枚数が増えていけば末期みたいだけど……どんな風に、亡くなるのか、まではどこにも書かれてなかったわ。ただ……進行も早くて、致死率も高いって……」

 命に関わる病なのに治療法が不明。
 それはつまり、治る見込みのない絶望的な答えだった。

「でもね、まだあきらめてはダメよ。少し気になる記事を見つけたの、これなんだけど……」

 茫然とする穏花に、みちるはまだ意思の強い口調でスマートフォンの画面を見せた。
 
『不治の病、棘病の進行を食い止めるには、吸血族に血を吸い取ってもらうこと。病院には行かないこと。この国……いや、世界はこの病を嫌い、隠したがっている』

 そう書かれた内容を見て、穏花は目を丸くした。
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