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棘病

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 そして検索結果の一番上に表示された結果を覗いてみる。
 そこにはこう書かれてあった。

棘病いばらびょう――前触れなく突然口から薔薇の花弁のような物体を吐き出す奇病。初期は無色に近い白色をしており、枚数も少ない。中期は薄紅色となり、後期は真紅色となる。病が進行するほど色は濃度を増し、枚数も増える。現在治療法はなく、不治の病とされている…………』

 そこまで読むと、穏花は思わずスマートフォンの画面を伏せた。
 枕の側に放置されたそれは、確かに薄い白色をしており、小ぶりの花弁一枚だった。

 たった今見た棘病の初期症状と完全に一致している。
 あまりに唐突な事態に思考がついていかず、穏花はただ頭を抱えていた。
 恐ろしくて、それ以上詳しい説明を目にしたくもなかった。

「……嘘、嘘……こんなの、嘘、だあ……」

 そこで無慈悲にも目覚まし時計が予約の時刻を知らせる音を立てた。

 穏花は強く停止ボタンを押すと、眉をひそめたままどうにか身体を起こし、白のブラウスにえんじ色のリボンをつけ、濃紺のスカートに着替えをした。
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