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とこしえの恋路
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――蛇珀様、蛇珀様、好きです、愛してます、もっと、もっとあなたを――。
気を失いそうな濃厚な接吻の中、いろりは切にそう願った。
――いろり、いろり、好きだ、愛してる、もっと、もっと、お前を俺の手で――――。
『ぐちゃぐちゃに犯したい、死ぬほど鳴かせたい、そうだろ?』
蛇珀がいろりの浴衣に手を忍ばせようとした時、もう一人の狡猾な笑みを浮かべる自分が脳裏をよぎった。
恐ろしくなった蛇珀は、反射的にいろりの両肩を掴み、自身から引き離した。
「じゃ、はく、さま……?」
驚くいろりの声で蛇珀はようやく我に返ると、誤魔化すように笑った。
「あ……あ、ああ、ね、寝るか!」
「そ……そうですね!」
蛇珀に合わせるように、いろりもぎこちない笑みを作った。
すべて蛇珀が初めてのいろりは、自ら閨事に誘うなどはしたなくてとてもできない。故にずっと蛇珀を待っているのだ。
寝室の照明を一段消し、橙色のほのかな灯りの中で二人は同じ布団に入った。
「あの、蛇珀様、手を握って寝てもいいですか?」
「……ああ」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
「おやすみ、いろり」
一日の終わりの挨拶をして愛らしく微笑むと、いろりはゆっくりと眠りに落ちていく。
胸は弾むのにそれと同時にとても安らぐ。いろりは蛇珀の側を、唯一無二の安息の地としていた。
一方、蛇珀は……
気を失いそうな濃厚な接吻の中、いろりは切にそう願った。
――いろり、いろり、好きだ、愛してる、もっと、もっと、お前を俺の手で――――。
『ぐちゃぐちゃに犯したい、死ぬほど鳴かせたい、そうだろ?』
蛇珀がいろりの浴衣に手を忍ばせようとした時、もう一人の狡猾な笑みを浮かべる自分が脳裏をよぎった。
恐ろしくなった蛇珀は、反射的にいろりの両肩を掴み、自身から引き離した。
「じゃ、はく、さま……?」
驚くいろりの声で蛇珀はようやく我に返ると、誤魔化すように笑った。
「あ……あ、ああ、ね、寝るか!」
「そ……そうですね!」
蛇珀に合わせるように、いろりもぎこちない笑みを作った。
すべて蛇珀が初めてのいろりは、自ら閨事に誘うなどはしたなくてとてもできない。故にずっと蛇珀を待っているのだ。
寝室の照明を一段消し、橙色のほのかな灯りの中で二人は同じ布団に入った。
「あの、蛇珀様、手を握って寝てもいいですか?」
「……ああ」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
「おやすみ、いろり」
一日の終わりの挨拶をして愛らしく微笑むと、いろりはゆっくりと眠りに落ちていく。
胸は弾むのにそれと同時にとても安らぐ。いろりは蛇珀の側を、唯一無二の安息の地としていた。
一方、蛇珀は……
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