蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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とこしえの恋路

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「い、いいの? お母さん」
「だってお母さん夜中いないことが多いでしょう? 生活のためとはいえ、年頃の娘を置いて夜勤するのはいつも気がかりだったの。だけど蛇珀君が一緒にいてくれるなら安心だもの。スーツを着ていてもなかなか……頼り甲斐のある身体なのがわかるしね、うふふ」
「ちょ、ちょっとお母さん!? 蛇珀様に触らないでよぉ!」
「やだー、怒られちゃった」

 蛇珀の筋肉を確認するように二の腕を触るさゆりに、プンスカ怒るいろり。

 こうしてあれよあれよと、さゆりの手によりいろりが蛇珀と暮らす支度が進められた。

「い、いいのか、いろり?」
「母も蛇珀様のように思い立ったら即行動の人なので……。私は……早く蛇珀様と一緒に暮らしたかったので、嬉しい、ですが」

 少し俯きがちにほのかに頬を色づかせるいろりに、蛇珀は暴走しそうな自分をどうにか堪える。

「あの……蛇珀様は、大丈夫ですか? まだ早いというなら、後日でも」
「い、いや、俺も……来てほしい」

 本心では、来てほしいに決まっている。
 念願だった誰にも邪魔されない、いろりと二人だけの世界。
 それでも蛇珀がどこか躊躇しているように見えるのは、神から人になった男ならでわの葛藤があったのだ。
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