蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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とこしえの恋路

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「――――なっ……なんだこりゃ!? 髪が、黒くなっていやがる!?」

 鏡に映る蛇珀の姿。
 それはいつもの白銀色の髪ではなく、ふわりとした黒髪に変貌していたのだ。
 当然、蛇珀の眠気は吹き飛んだ。

「ど、どういうことだ!? うおっ! つ、爪もなくなっていやがる!!」
「蛇珀様、お口はどうでしょうか?」

 戸惑いながら蛇珀が口を開くと、それをいろりが確認する。

「な、なんと、舌先が割れていませんよ蛇珀様! 牙も短くなっています、八重歯程度に!」
「マジかよ!? よくわかんねえけどやった!」
「でも、せっかくの蛇珀様のチャームポイントが……」
「なんで残念そうなんだよ!? 喜ぶとこだろそこは!」
「あ、でも目は変わっていませんね」
「一番蛇くせえとこが……」
「ふふ、いいじゃないですか。あ、よく見ると狩衣もありませんね」
「いろりの数珠もなくなってねえか?」
「あ! ほ、ほんとです」

 蛇珀にいつもの狩衣はなく、上半身が白く、若草色の袴をした神主のような姿になっていた。
 いろりはセーラー服のままであったが、左手首につけていた数珠が消えていた。

「……この姿はまるで……」

 黒髪になり、尖った爪や牙も舌先の割れもなくなった。
 この出立ちは、まるで――。

「人間……」

 蛇珀といろりはともに同じことを口走った。その直後。

「目が覚めたか、蛇珀、いろりよ」

 頭と心の中に直接話しかけてくるような声が、二人に響いた。
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