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ありし日の恋物語
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「俺にこんな小細工は通用しねえぜ! 俺を追い詰めたいならもっと肉体的な苦行を強いた方がいいんじゃねえか天獄様よォ!!」
『……まだ我を挑発する気力が残っていようとは。よかろう、受けてみよ』
「――ガッ……!?」
天から蛇珀目掛け、巨岩が落下する。
自身の十倍は重さがあろう黒岩を、蛇珀は両掌で受け止め、押しつぶされまいと姿勢を低くし最大限力を込める。
素足は道にめり込み、白い腕と眉間に血の管が浮かび上がる。
「ぐ、ぎ、ぎぎぎ……がああぁああッ!!!」
渾身の力で巨岩を押し返す。
投げ飛ばされた岩は闇の彼方へ消えていった。
浅い呼吸を繰り返し息を整えると、蛇珀は前を向き、また休むことなく走り始めた。
「待ってろよ、いろり! 苦行なんざさっさと終わらせて早くお前と――……」
自分の妄想に思わず赤くなった蛇珀は、バチン! と音がするほど豪快に両頬を平手打ちした。
「邪心、喝! ……いや? これは邪心じゃねえ、愛だ愛!! いろり、いろり、いろりいいぃぃ!!」
菩薩のようないろりの笑顔を思い出しながら、蛇珀は竜の尻尾を目指す。
――果たして、蛇珀の努力は報われるのであろうか……?
『……まだ我を挑発する気力が残っていようとは。よかろう、受けてみよ』
「――ガッ……!?」
天から蛇珀目掛け、巨岩が落下する。
自身の十倍は重さがあろう黒岩を、蛇珀は両掌で受け止め、押しつぶされまいと姿勢を低くし最大限力を込める。
素足は道にめり込み、白い腕と眉間に血の管が浮かび上がる。
「ぐ、ぎ、ぎぎぎ……がああぁああッ!!!」
渾身の力で巨岩を押し返す。
投げ飛ばされた岩は闇の彼方へ消えていった。
浅い呼吸を繰り返し息を整えると、蛇珀は前を向き、また休むことなく走り始めた。
「待ってろよ、いろり! 苦行なんざさっさと終わらせて早くお前と――……」
自分の妄想に思わず赤くなった蛇珀は、バチン! と音がするほど豪快に両頬を平手打ちした。
「邪心、喝! ……いや? これは邪心じゃねえ、愛だ愛!! いろり、いろり、いろりいいぃぃ!!」
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――果たして、蛇珀の努力は報われるのであろうか……?
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