蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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蛇珀といろり

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「……おい」
「――あ……あっ! こ、こういう時は、目を閉じた方がいいんでしょうか!? あ、こういうことは聞かない方がいいんでしょうかね!? って、また聞いてしまいました! ご、ごめんなさいぃ!!」

 茹で蛸のように赤くなり慌てふためくいろりに、蛇珀は緊張が解け思わず笑った。

「いや、俺も初めてだからわからねえけど」
「えっ……?」

 蛇珀の『初めて』という言葉に反応していると、その隙に額に柔らかな感触が生まれた。
 蛇珀の薄い唇が、いろりの額に触れたのである。

「まあ、今日はこの辺で許してやる。焦ることはねえし、な」

 そう言った蛇珀は、この世のものとは思えないほど慈しみに溢れ美しかった。
 実際この世のものではないわけだが。

 こうして二人は愛を育み始めた。
 いくつもの問題を抱えながら――。
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