蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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蛇珀といろり

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「……いろり、あなた誰に恥ずかしがってるの?」
「あ、あはは! 誰にでしょう!?」
「おかしな子ねえ」

 いろりは笑って誤魔化し母との食事を終えると、顔を洗い歯を磨いて身支度を整えに自室へ戻った。
 その間も蛇珀はいろりの後ろをついて歩いている。

「……人間の男はそんなとこで女を判断してるのか」
「え? あ、どう……でしょうね? 人によるとは思いますが。……あの、蛇珀様は」

 どんな女性がお好きですか? という言葉が喉まで出かかり、飲み込んだ。
 神ともあろう存在に、そのような俗な質問はあまりに失礼な気がしたのだ。

 しかし蛇珀はその先を聞かずともいろりの言いたいことを理解していた。

「俺は別に、お前ならなんでも……」

 蛇珀の思わぬ言葉に、いろりは顔を火照らせた。
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