蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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蛇珀といろり

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 蛇珀がいろりの願いを叶えるまで帰らない、と宣言してから一週間の時が流れていた。

 蛇珀は就寝時は必ず白蛇の姿になり、いろりが眠っている布団の上で身体を丸め共寝していた。

 神の朝は早い。
 夜明けと共に起床すると、蛇珀はベッドを降りて人の姿に戻り一つ伸びをする。

 桃色の生地に花柄のカーテンの隙間から差し込む朝日に照らされた蛇珀は、今日も清廉な光を纏っていた。

 いろりの部屋で住まうようになってから毎朝、蛇珀は彼女の寝顔を見るのが日課となった。朝が弱いいろりを起こすまで、気持ちよさそうに寝息をたてて目を瞑る顔を堪能するのである。

「……ん……」

 艶やかな膨らみのあるいろりの唇が僅かに動きを見せると、次第に瞼が持ち上がっていく。蛇珀はこの瞬間が毎朝待ち遠しく、そして惜しくもあると感じていた。
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