蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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出逢い

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 一見あやかしに見間違えてしまいそうな彼の容貌であるが、冷静に見ればその顔立ちがかなりの美少年であることと、神力の強さから纏うオーラは心が洗われるように清廉なことがわかる。
 しかし先入観を持つ者には正しき姿は認識しにくかった。少女は邪心がなかったため、素直に蛇珀の端麗さに気づけたのである。

 蛇珀は一つ咳払いをすると、気持ちを落ち着かせ改めて少女に向き直った。

「……まあ、いい。俺は仙界から来た蛇神へびがみの蛇珀だ。突然だがお前の寿命を少しいただく代わりになんでも一つだけ願いを叶えてやる。俺たち神はお前ら人間の寿命をいただいて生きてるからな」
 
 蛇珀がそう言うと、少女は目を大きくして不思議そうに首を傾げた。

「俺の力はさっきよくわかっただろ。さあ、早く願いを言え。何を呆けていやがる」
「あ、す、すみません。でも私、願い事なんてなくて」
「は? そんな人間いるわけねえだろ。わかった、寿命を取られることが怖いから言えねえんだな。仕方ねえから出血大サービスで十年のところを一年にまけてやるよ」
「え? そ、そんな」
「なんだ、まだ不服なのか? じゃあ一月ひとつき……いやもう一日でいいわ」

 特売品のように勧めてくる蛇珀に、少女は困って首を横に振っていた。
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