君と命の呼吸

5.ふたりで、ひとつ

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　それから海斗と、恋人として時を重ねた。
　お姉ちゃんや理人にも公認され、嘘をついて出かける必要もなくなり、堂々と会うことができた。
　海斗の家は初めて出会ったあの漁船が着いた場所に近く、私の家からもさほど距離はなかった。
　海斗に呼ばれ何度も家にお邪魔し、彼のお父さんを始め、近所の人や漁師仲間とも顔見知りになった。
　海斗は小学生の時、お母さんを病気で亡くしていた。
　だから私の境遇を知っても、気さくに迎えてくれる人ばかりなのかもしれない。

　検査の辛さや手術への恐怖、その後の副反応や余命への不安、すべてを海斗に包み隠さず話していた。
　生への喜びと死への不安は、比例して肥大する。
　海斗が大切にしてくれるほど自分が尊い存在になった気がして、命が惜しくなった。

　あきらめていたはずの初恋が最高の形で実り、浮足立っていたに違いない。
　その歓喜の光に目が眩んでいた。