君と命の呼吸

3.夢の戯れ

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　それから首まで水位が来るところまで行き、顔をつけたり両手を持ってもらって、泳ぐ真似事もした。
　永遠の憧れであり、恐怖の象徴でもあった海は、彼がいれば怖くはなかった。
　私を危険から守るように支える海斗は真剣で、かと思えば突然ふざけて海水をかけてきたりするので、負けじと応戦した。

　眩しい戯れの中、海斗に質問を投げかけた。
「私のこと、聞かないの？」と。
　なぜ沖縄に来たのか、学校はどうしているのか、不思議な部分が多いことは、彼だって感じていると思ったから。
　それに対する海斗の答えは、嘘のように優しかった。

「気になるよ、ひなのことは知りたいし。でも、人ってそれぞれ事情があるじゃん。だから、いつかひなが話したいなって思った時に話してくれたらいい。俺にとっては、今目の前にいるひなが全部だから」

　彼の寛容さに、海に沈むように深みにはまってしまいたくなった。
　無造作に髪を掻き上げる仕草も、臆さずに見つめる瞳も、子供のような満開の笑顔も、すべてが甘美な生命力に満ちていて、欲しいと思ってしまった。

　だからきっと、バチが当たったんだ。
　身のほど知らずの私に。