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第六章、金色の庭を越えて。
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――あれから何度もカレンダーが変わり、あゆらは大学四年生になっていた。
親が離婚しても岸本幸蔵の娘ということはついて回ったが、それでも優秀だったあゆらは、優良企業に内定が決まった。
都内の国立大学に通うあゆらは、小さなアパートを借り、家庭教師のアルバイトをしながら一人暮らしをしていた。
「おはよう、アキ」
「ナゥ」
あゆらは独特な鳴き方をする白猫に朝ご飯をあげる。鮭つきのねこまんまだ。
あの後あゆらは、大家さんに無理を言って、アキを引き取らせてもらえるようお願いしたのだった。
キャンパスライフはそれなりに楽しかった。
興味があることを学べるし、友人も増え、新しい土地で刺激もあった。
しかし、あゆらは志鬼以外に恋できなかった。
年齢問わず数多の男性に言い寄られ、試しに付き合ってみたこともあったが、誰とも長続きせず、深い仲になることもなかった。
志鬼にあれほど焦がれたのは、あのスリリングな状況と若さが総じて生み出した熱病のようなものだったと、自分に言い聞かせることもしたが、無駄だった。
毎日会っているはずの皆はどこか遠く、未だに志鬼が一番近くにいるような気がした。
親が離婚しても岸本幸蔵の娘ということはついて回ったが、それでも優秀だったあゆらは、優良企業に内定が決まった。
都内の国立大学に通うあゆらは、小さなアパートを借り、家庭教師のアルバイトをしながら一人暮らしをしていた。
「おはよう、アキ」
「ナゥ」
あゆらは独特な鳴き方をする白猫に朝ご飯をあげる。鮭つきのねこまんまだ。
あの後あゆらは、大家さんに無理を言って、アキを引き取らせてもらえるようお願いしたのだった。
キャンパスライフはそれなりに楽しかった。
興味があることを学べるし、友人も増え、新しい土地で刺激もあった。
しかし、あゆらは志鬼以外に恋できなかった。
年齢問わず数多の男性に言い寄られ、試しに付き合ってみたこともあったが、誰とも長続きせず、深い仲になることもなかった。
志鬼にあれほど焦がれたのは、あのスリリングな状況と若さが総じて生み出した熱病のようなものだったと、自分に言い聞かせることもしたが、無駄だった。
毎日会っているはずの皆はどこか遠く、未だに志鬼が一番近くにいるような気がした。
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