金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第六章、金色の庭を越えて。

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 清志郎が静かに人生の舞台から立ち去った後、あゆらのスマートフォンが振動した。

 着信相手は“父、幸蔵”

 あゆらは迷うことなく、スカートのポケットから出したそれを耳に当てた。

「はい」
『どういうことだ、あゆら! うちにも警官が来ている! お前は正気でこんなことをしているのか!? 自分の人生を棒に振ることになるのだぞ!』
「……お父様、今までお世話になりました」

 電話口に出るなり動揺を極めた父に、娘は右手親指で地を差すと、潔くこう告げた。


「地獄に落ちなさい、腐れ外道」


 躊躇なく切電ボタンを押すと、あゆらは肩にかかった長い髪を手の甲で掻き上げ、得意げに志鬼に笑って見せた。

「ふはっ! ……かっこええっ!」

 こうして清志郎と、その背景に座する巨悪退治は、終幕を迎えた。
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