207 / 228
第六章、金色の庭を越えて。
2
しおりを挟む
「――あゆらっ……!!」
叫ぶように名を呼びながら身体を反転させた志鬼が、あゆらの腰を、顎を掴み、強く引き寄せ唇を奪う。
力任せに身体を進めれば、あゆらの背中が側の壁にぶつかり、そのまま貪るような口づけを繰り返す。
あゆらは志鬼の激しさに応えようと、必死に爪先立ちをし、背中に手を回して、舌を絡めた。
恐怖などない。この大きな身体と強い力で、好きにされたいと思った。
女性らしい華奢で柔らかな身体と、甘い香り。
もっとあゆらを感じたいと、志鬼が濡れた衣服の上から、その膨らみを鷲掴みにした。
「んっ……」
途端、志鬼は宇宙を見た。
宇宙を見た……が、それを突き破るべく、もう一人の理性という名の自分がものすごい勢いでやって来た。
「――ダアアアァ!!」
声ならぬ声を上げ、ガヅン、と鈍い音を響かせた志鬼は、自ら壁に頭を打ちつけていた。
「……あかん、あかんあかんアカン! 今はまだあかんやろ! ヤりたいけど、正直言えば死ぬほど抱き潰したいけど今はあかんン!!」
「……何よ、私のこと好きなんでしょう?」
懸命に自分に言い聞かせる志鬼に、あゆらは少し拗ねたような表情でそう問いかけた。
すると志鬼は静かにあゆらに向き直った。
その顔は、驚くほど真剣そのものだった。
「……本気で好きやから我慢してるねん。俺はまだガキやから、何かあっても責任が取れん」
あゆらは大きく開いた目で、背の高い恋人を見つめていた。
叫ぶように名を呼びながら身体を反転させた志鬼が、あゆらの腰を、顎を掴み、強く引き寄せ唇を奪う。
力任せに身体を進めれば、あゆらの背中が側の壁にぶつかり、そのまま貪るような口づけを繰り返す。
あゆらは志鬼の激しさに応えようと、必死に爪先立ちをし、背中に手を回して、舌を絡めた。
恐怖などない。この大きな身体と強い力で、好きにされたいと思った。
女性らしい華奢で柔らかな身体と、甘い香り。
もっとあゆらを感じたいと、志鬼が濡れた衣服の上から、その膨らみを鷲掴みにした。
「んっ……」
途端、志鬼は宇宙を見た。
宇宙を見た……が、それを突き破るべく、もう一人の理性という名の自分がものすごい勢いでやって来た。
「――ダアアアァ!!」
声ならぬ声を上げ、ガヅン、と鈍い音を響かせた志鬼は、自ら壁に頭を打ちつけていた。
「……あかん、あかんあかんアカン! 今はまだあかんやろ! ヤりたいけど、正直言えば死ぬほど抱き潰したいけど今はあかんン!!」
「……何よ、私のこと好きなんでしょう?」
懸命に自分に言い聞かせる志鬼に、あゆらは少し拗ねたような表情でそう問いかけた。
すると志鬼は静かにあゆらに向き直った。
その顔は、驚くほど真剣そのものだった。
「……本気で好きやから我慢してるねん。俺はまだガキやから、何かあっても責任が取れん」
あゆらは大きく開いた目で、背の高い恋人を見つめていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
霊感不動産・グッドバイの無特記物件怪奇レポート
竹原 穂
ホラー
◾️あらすじ
不動産会社「グッドバイ」の新人社員である朝前夕斗(あさまえ ゆうと)は、壊滅的な営業不振のために勤めだして半年も経たないうちに辺境の遺志留(いしどめ)支店に飛ばされてしまう。
所長・里見大数(さとみ ひろかず)と二人きりの遺志留支店は、特に事件事故が起きたわけではないのに何故か借り手のつかないワケあり物件(通称:『無特記物件』)ばかり取り扱う特殊霊能支社だった!
原因を調査するのが主な業務だと聞かされるが、所長の霊感はほとんどない上に朝前は取り憑かれるだけしか能がないポンコツっぷり。
凸凹コンビならぬ凹凹コンビが挑む、あなたのお部屋で起こるかもしれないホラー!
事件なき怪奇現象の謎を暴け!!
【第三回ホラー・ミステリー大賞】で特別賞をいただきました!
ありがとうございました。
■登場人物
朝前夕斗(あさまえ ゆうと)
不動産会社「グッドバイ」の新人社員。
壊滅的な営業成績不振のために里見のいる遺志留支店に飛ばされた。 無自覚にいろんなものを引きつけてしまうが、なにもできないぽんこつ霊感体質。
里見大数(さとみ ひろかず)
グッドバイ遺志留支社の所長。
霊能力があるが、力はかなり弱い。
煙草とお酒とAV鑑賞が好き。
番場怜子(ばんば れいこ)
大手不動産会社水和不動産の社員。
優れた霊感を持つ。
里見とは幼馴染。

彼の記憶に僕は居ない
あさみ
青春
大親友だった奏太と幸大がある日交通事故にあった、奏太がトラックにぶつかりそうなのを幸大が背中を押し奏太を助けとうとしたが奏太は足を引かれ、幸大はまともにトラックの衝突を正面からくらったので記憶が無くなってしまった、その記憶を思い出させようと奏太、しかし、本当は・・・

見上げた青に永遠を誓う~王子様はその瞳に甘く残酷な秘密を宿す~
結城ひなた
青春
高校のクラスメートの亜美と怜は、とある事情で恋人のふりをすることになる。
過去のとある経験がトラウマとなり人に対して壁を作ってしまう亜美だったが、真っ直ぐで夢に向かってひたむきに頑張る怜の姿を見て、徐々に惹かれ心を開いていく。
そして、紆余曲折を経てふたりは本当の恋人同士になる。だが、ふたりで出かけた先で交通事故に遭ってしまい、目を覚ますとなにか違和感があって……。
二重どんでん返しありの甘く切ない青春タイムリープストーリー。

人魚のカケラ
初瀬 叶
青春
あの娘は俺に言ったんだ
『もし私がいなくなっても、君は……君だけには覚えていて欲しいな』
父親と母親が離婚するらしい。
俺は父親、弟は母親が引き取るんだと。……俺等の気持ちなんてのは無視だ。
そんな中、弟が入院した。母親はまだ小学生の弟にかかりきり、父親は仕事で海外出張。
父親に『ばあちゃんの所に行け』と命令された俺は田舎の町で一ヶ月を過ごす事になる。
俺はあの夏を忘れる事はないだろう。君に出会えたあの夏を。
※設定は相変わらずふんわりです。ご了承下さい。
※青春ボカロカップにエントリーしております。

小麦姫と熊隊長 外伝
宇水涼麻
青春
「小麦姫は熊隊長に毎日プロポーズする」の小話です。
そちらを読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
たくさんのキャラクターが出てくる小説なので、少しずつ書いていきたいと思っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる