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第五章、真実と情熱
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「……あゆら、濡れるから、とりあえずどこか、中に」
「そうね、これが壊れてしまっては困るし」
「これ……?」
不思議に感じた志鬼が目にしたのは、あゆらがワンピースのポケットから出した小型の黒い機械のようなものだった。
「ボイスレコーダーよ」
あゆらはそう言うと、水没して故障しないよう手にしたものをショルダーバッグの中にしまい込んだ。
その機械を見た瞬間、志鬼はすべてを悟り、愕然とした。
「ネットで買ったのよ、今は便利ね、スマホじゃ精度が低いだろうしいざという時に操作に手間取るから、ボタン一つでできるものが欲しかったの」
「それって、まさか……」
「そうよ。昨日私は、志鬼がいないのをいいことに、わざと帝くんに捕まりに行ったの」
あゆらはいつか清志郎の自供を取れないかと、常にボイスレコーダーを持ち歩いていた。
志鬼の不在を清志郎が放って置くはずがないと踏んだあゆらは、昨日、移動教室の際、あえて他の生徒たちから離れ一人になる隙を作り、わざと清志郎の個人部屋の前をゆっくりと通った。制服のポケットに忍ばせた、ボイスレコーダーの電源を入れて――。
つまり、昨日の清志郎とのやり取りは、すべてそこに証拠として収まっているのだ。
ついで、先ほどの幸蔵の言ったことも、同じく録音していた。
彼らの罪を明るみにするに相応しい材料は、十分に揃った。
「そうね、これが壊れてしまっては困るし」
「これ……?」
不思議に感じた志鬼が目にしたのは、あゆらがワンピースのポケットから出した小型の黒い機械のようなものだった。
「ボイスレコーダーよ」
あゆらはそう言うと、水没して故障しないよう手にしたものをショルダーバッグの中にしまい込んだ。
その機械を見た瞬間、志鬼はすべてを悟り、愕然とした。
「ネットで買ったのよ、今は便利ね、スマホじゃ精度が低いだろうしいざという時に操作に手間取るから、ボタン一つでできるものが欲しかったの」
「それって、まさか……」
「そうよ。昨日私は、志鬼がいないのをいいことに、わざと帝くんに捕まりに行ったの」
あゆらはいつか清志郎の自供を取れないかと、常にボイスレコーダーを持ち歩いていた。
志鬼の不在を清志郎が放って置くはずがないと踏んだあゆらは、昨日、移動教室の際、あえて他の生徒たちから離れ一人になる隙を作り、わざと清志郎の個人部屋の前をゆっくりと通った。制服のポケットに忍ばせた、ボイスレコーダーの電源を入れて――。
つまり、昨日の清志郎とのやり取りは、すべてそこに証拠として収まっているのだ。
ついで、先ほどの幸蔵の言ったことも、同じく録音していた。
彼らの罪を明るみにするに相応しい材料は、十分に揃った。
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