金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第五章、真実と情熱

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 それからあゆらは一旦自分の家に戻り、制服から私服に着替えて志鬼たちと合流した。
 あゆらは空腹を訴える虎徹に、横浜の街を案内がてら中華街で昼食を取る提案をした。
 清潔感ある白のワンピースに爽やかな水色のカーディガン、花飾りがついたサンダルが似合う可憐な少女が、不良の代表のような少年二人を引き連れ歩いている。
 摩訶不思議な組み合わせに、通行人は皆奇妙な視線を投げかけていたが、三人とも気にする素振りはない。
 観光地でもある土曜の中華街は賑わっており、虎徹は初めての場所に忙しなく頭を動かしていた。

「神戸にも中華街ありますけどやっぱこっちはでかいっすね、お嬢でもこんなガヤガヤしたとこ来るんすか」
「私は小さな頃お母様と来たきりね、お父様がこういう場所はお嫌いだから」
「へえ、自分で好きな場所にも行けんて、お嬢も楽ちゃうっすね」

 そんな世間話をしつつ、三人は老舗の中華飯店にやって来た。家族で営んでいる、こじんまりとしているがおいしいと地元では有名な店だ。
 早めに来店したおかげで席はある程度空いており、すぐに座ることができた。
 あゆらが奥へ行くとすかさず志鬼がその横を陣取るので、虎徹は志鬼の前に座ることにした。
 こういう時普通向かい合って座りません? という言葉が出かかった虎徹だったが、あまりに自然だったため、このカップルはファミレスなどでも隣同士で座る派なんだな、と理解しツッコミはやめた。大正解だった。

「鮭チャーハンがない」
「それ、ある方がなかなかレアだと思うけれど」
「地元なら志鬼兄貴限定で裏メニュー出してくれますもんね」

 志鬼の顔の広さを現す台詞に、あゆらは地元の志鬼をよく知っていそうな虎徹が少し羨ましく見えた。
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