金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第五章、真実と情熱

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 志鬼はあの事件から三年越しに、ようやく泣けた。
 逃げるのではなく、忘れるのでもなく、本当の意味で親友の死を、乗り越えられた気がした。

 ――俺、めっちゃかっこ悪いとこばっかり見せてるけど、それでもええんかな……?

 あゆらの前ではかっこよくありたいのに、拗ねたり泣いたり熱を出したり、逆のことばかりしている気がする志鬼。
 それでも嫌がるどころか好意に溢れるあゆらに、志鬼の視界はまばゆい金色に染まる。
 今まで誰も見せてくれなかった景色が、あゆらと一緒ならこれからも変わらず側にあると信じられた。

「……なあ、あゆら」
「なぁに?」
「俺、ほんまにあゆらのこと好きやねん……だから、いつまでも不良なんかやってないで、家のこともちゃんとするから、俺とずっと一緒に――」

 そこまで言って、ハッとした志鬼は顔を上げた。
 すると視線がぶつかったあゆらは、目を丸くしながらも頬を紅潮させていた。

「あ、いやっ……これ、今言うこととちゃうな」
「そっ、そんなことないと思うけれど……」

 もどかしい静けさが訪れたのち、二人はどちらともなく見つめ合い、唇を寄せた。

「二人とも完全に俺の存在忘れてますよね? 早よせな騰さん呼ぶっすよ」
「……やめんかい、話がややこしくなる」

 小窓から片目だけ覗いた虎徹のツッコミに、確かにすっかり忘れていたと二人は納得して頷いた。
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