金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第五章、真実と情熱

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 中学にもなれば立派な不良になっており、家のこともあって一歩距離を取られることも多かったが、そんなことは最初のうちだけで、気づけば取り巻きができたものだ。
 当然集まって来るのは跳ねっ返りの不良ばかりで、自分に似た者たちと群れるのは傷の舐め合いのようで、志鬼はあまり好きではなかった。
 しかし、まあ、こんなものかと、なんとなく日々を過ごすうちにいつか自分が家を継ぐのか、などとぼんやり考えたこともあった。

 そんな中、志鬼に変化を与える人物が現れた。

 ある日志鬼が保健室で授業をサボっていた時だった。
 窓から外を眺めていると、後ろから声をかけられたのだ。

「あれ、野間口くんも見学……?」

 振り向いた先にいたのは背の低い、痩せた身体に不健康そうな青白い肌をした少年だった。

「そんなわけないやん、サボり」
「そ、そうだよね」
「ていうか、誰?」
「あ、僕、やなぎ優介ゆうすけっていうんだ。クラス違うし、知らなくて当たり前だと思う。でも僕は野間口くんのこと知ってて……よくここにいるから、体育の授業が見えて、運動神経すごくって羨ましいなって……」
「お前は運動苦手なん?」
「僕は生まれつき心臓が弱いから激しい運動はできないんだ」

 この時志鬼は、なんと声をかけるか迷った。自分には当然できることが、目の前の同級生にはできない。親を選べないように、肉体も選ぶことはできないのだと知った。
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