183 / 228
第五章、真実と情熱
31
しおりを挟む
「すっげえ! この人めっちゃ頭ええんちゃいます!? 俺ずっと虎もライオンもイヌ科やと思ってました!」
「志鬼、この子は大丈夫なのかしら?」
「見ての通り全然大丈夫ちゃうで」
会って一分であゆらに心配されるほど、虎徹は人を信じやすく、そして騙されやすかった。
「私は岸本あゆらよ、あなたは……ええと、野間口の組員さん、かしら?」
「……ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました」
ジャッジャーン! と自分で効果音をつけながら戦隊モノヒーローかぶれの男児のように動きをつけ、バーン! と背中を両手親指で示して決めポーズをする虎徹。
「野間口組、下っ端兼志鬼兄貴親衛隊長、相沢虎徹とは俺のことや!!」
ちなみに虎徹があゆらに見せつけているのは刺青ではない。ただのスカジャンに織り込まれた虎である。
「そんなダサいスカジャンの虎、ドヤ顔で見せられてもイタイだけやで」
「しゃあないっすやん! 俺も志鬼兄貴みたいに墨入れたかったけど、痛すぎて虎の尻尾だけで断念したんすもん!」
「それは大変だわ、タトゥーシールを貼ったらどうかしら?」
「そういうことやないんすよ、姉貴!」
「姉貴って……」
「だって志鬼兄貴の彼女なんすよね? なら姉貴ですやん」
虎徹に言われ、あゆらと志鬼は互いに顔を見合わすとなんとなく照れくさくてもだもだした。
「志鬼、この子は大丈夫なのかしら?」
「見ての通り全然大丈夫ちゃうで」
会って一分であゆらに心配されるほど、虎徹は人を信じやすく、そして騙されやすかった。
「私は岸本あゆらよ、あなたは……ええと、野間口の組員さん、かしら?」
「……ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました」
ジャッジャーン! と自分で効果音をつけながら戦隊モノヒーローかぶれの男児のように動きをつけ、バーン! と背中を両手親指で示して決めポーズをする虎徹。
「野間口組、下っ端兼志鬼兄貴親衛隊長、相沢虎徹とは俺のことや!!」
ちなみに虎徹があゆらに見せつけているのは刺青ではない。ただのスカジャンに織り込まれた虎である。
「そんなダサいスカジャンの虎、ドヤ顔で見せられてもイタイだけやで」
「しゃあないっすやん! 俺も志鬼兄貴みたいに墨入れたかったけど、痛すぎて虎の尻尾だけで断念したんすもん!」
「それは大変だわ、タトゥーシールを貼ったらどうかしら?」
「そういうことやないんすよ、姉貴!」
「姉貴って……」
「だって志鬼兄貴の彼女なんすよね? なら姉貴ですやん」
虎徹に言われ、あゆらと志鬼は互いに顔を見合わすとなんとなく照れくさくてもだもだした。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
8年間未来人石原くん。
七部(ななべ)
青春
しがない中学2年生の石原 謙太郎(いしはら けんたろう)に、一通の手紙が机の上に届く。
「苗村と付き合ってくれ!頼む、今しかないんだ!」
と。8年後の未来の、22歳の自分が、今の、14歳の自分宛に。苗村 鈴(なえむら すず)
これは、石原の8年間の恋愛のキャンバスのごく一部分の物語。
Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
コミュ障じゃないボカロPが書いたラノベなんて読まない
ぼを
青春
底辺ボカロPと、架空のボカロ少女「ミコ」の日常を描いたラノベです。
ほのぼのとしたラブコメを基軸とするつもりですが、純文学要素や、若干の性的描写を予定しておりますので、R-15としております。
作者自体もボカロPである関係上、小説の話と実際のオリジナル楽曲をリンクさせて書いていく予定です。
それなりの期間で連載しますので、お気に入り登録を推奨します。
ちなみに「ミコ」とは、つまり、あのボカロキャラクタの事です。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
OL 万千湖さんのささやかなる野望
菱沼あゆ
キャラ文芸
転職した会社でお茶の淹れ方がうまいから、うちの息子と見合いしないかと上司に言われた白雪万千湖(しらゆき まちこ)。
ところが、見合い当日。
息子が突然、好きな人がいると言い出したと、部長は全然違う人を連れて来た。
「いや~、誰か若いいい男がいないかと、急いで休日出勤してる奴探して引っ張ってきたよ~」
万千湖の前に現れたのは、この人だけは勘弁してください、と思う、隣の部署の愛想の悪い課長、小鳥遊駿佑(たかなし しゅんすけ)だった。
部長の手前、三回くらいデートして断ろう、と画策する二人だったが――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる