金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第五章、真実と情熱

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「すっげえ! この人めっちゃ頭ええんちゃいます!? 俺ずっと虎もライオンもイヌ科やと思ってました!」
「志鬼、この子は大丈夫なのかしら?」
「見ての通り全然大丈夫ちゃうで」

 会って一分であゆらに心配されるほど、虎徹は人を信じやすく、そして騙されやすかった。

「私は岸本あゆらよ、あなたは……ええと、野間口の組員さん、かしら?」
「……ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました」

 ジャッジャーン! と自分で効果音をつけながら戦隊モノヒーローかぶれの男児のように動きをつけ、バーン! と背中を両手親指で示して決めポーズをする虎徹。

「野間口組、下っ端兼志鬼兄貴親衛隊長、相沢あいざわ虎徹こてつとは俺のことや!!」

 ちなみに虎徹があゆらに見せつけているのは刺青ではない。ただのスカジャンに織り込まれた虎である。

「そんなダサいスカジャンの虎、ドヤ顔で見せられてもイタイだけやで」
「しゃあないっすやん! 俺も志鬼兄貴みたいに墨入れたかったけど、痛すぎて虎の尻尾だけで断念したんすもん!」
「それは大変だわ、タトゥーシールを貼ったらどうかしら?」
「そういうことやないんすよ、姉貴!」
「姉貴って……」
「だって志鬼兄貴の彼女なんすよね? なら姉貴ですやん」

 虎徹に言われ、あゆらと志鬼は互いに顔を見合わすとなんとなく照れくさくてもだもだした。
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