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第五章、真実と情熱
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「ちょっと志鬼兄貴! なんで閉めるんすか! 俺っすよ、虎徹っす!!」
「お前やから閉めてるんや!」
「志鬼兄貴に会いたくてはるばる神戸から来たのに冷たいやないっすかああ! 騰さんに居場所聞いたんすよおお!」
「ほんまあいつは余計なことしかせんな。……はあ、もううるさいから入れ」
近所迷惑を気にする組長の長男、苦労性の志鬼は渋々玄関のドアを開けた。
すると外から勢いよくヤンキー風のチビ助が飛び込んで来る。
「志鬼、彼ってもしかして」
「ああ、ずっと前にチラッと話したベタベタついて来る弟分や」
「……なんすか、この女」
虎徹はあゆらをじろじろ見ながらガンを飛ばす。そんな虎徹を威嚇するように、アキがフーッと逆毛を立てた。
「志鬼兄貴! 俺というものがありながら勝手に女連れ込むなんてひどいやないっすか!」
「盛大に誤解を招くようなこと言うな」
「あっ、まさかの猫まで!? 志鬼兄貴犬派やなかったんすか!? 俺ら若い衆、犬みたいや言うて可愛がってくれたくせに!」
「それはバカにしてただけやで」
「ひどい!!」
「……口を挟んで悪いけれど、虎もライオンもネコ科よ?」
それを聞いた虎徹は一瞬固まり、あゆらを凝視した。最初は怪訝な顔をしていたが、その円らな瞳は徐々にキラキラと輝き憧れの眼差しへと色を変えた。
「お前やから閉めてるんや!」
「志鬼兄貴に会いたくてはるばる神戸から来たのに冷たいやないっすかああ! 騰さんに居場所聞いたんすよおお!」
「ほんまあいつは余計なことしかせんな。……はあ、もううるさいから入れ」
近所迷惑を気にする組長の長男、苦労性の志鬼は渋々玄関のドアを開けた。
すると外から勢いよくヤンキー風のチビ助が飛び込んで来る。
「志鬼、彼ってもしかして」
「ああ、ずっと前にチラッと話したベタベタついて来る弟分や」
「……なんすか、この女」
虎徹はあゆらをじろじろ見ながらガンを飛ばす。そんな虎徹を威嚇するように、アキがフーッと逆毛を立てた。
「志鬼兄貴! 俺というものがありながら勝手に女連れ込むなんてひどいやないっすか!」
「盛大に誤解を招くようなこと言うな」
「あっ、まさかの猫まで!? 志鬼兄貴犬派やなかったんすか!? 俺ら若い衆、犬みたいや言うて可愛がってくれたくせに!」
「それはバカにしてただけやで」
「ひどい!!」
「……口を挟んで悪いけれど、虎もライオンもネコ科よ?」
それを聞いた虎徹は一瞬固まり、あゆらを凝視した。最初は怪訝な顔をしていたが、その円らな瞳は徐々にキラキラと輝き憧れの眼差しへと色を変えた。
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