金色の庭を越えて。

碧野葉菜

文字の大きさ
上 下
182 / 228
第五章、真実と情熱

30

しおりを挟む
「ちょっと志鬼兄貴! なんで閉めるんすか! 俺っすよ、虎徹っす!!」
「お前やから閉めてるんや!」
「志鬼兄貴に会いたくてはるばる神戸から来たのに冷たいやないっすかああ! 騰さんに居場所聞いたんすよおお!」
「ほんまあいつは余計なことしかせんな。……はあ、もううるさいから入れ」

 近所迷惑を気にする組長の長男、苦労性の志鬼は渋々玄関のドアを開けた。
 すると外から勢いよくヤンキー風のチビ助が飛び込んで来る。

「志鬼、彼ってもしかして」
「ああ、ずっと前にチラッと話したベタベタついて来る弟分や」
「……なんすか、この女」

 虎徹はあゆらをじろじろ見ながらガンを飛ばす。そんな虎徹を威嚇するように、アキがフーッと逆毛を立てた。

「志鬼兄貴! 俺というものがありながら勝手に女連れ込むなんてひどいやないっすか!」
「盛大に誤解を招くようなこと言うな」
「あっ、まさかの猫まで!? 志鬼兄貴犬派やなかったんすか!? 俺ら若い衆、犬みたいや言うて可愛がってくれたくせに!」
「それはバカにしてただけやで」
「ひどい!!」
「……口を挟んで悪いけれど、虎もライオンもネコ科よ?」

 それを聞いた虎徹は一瞬固まり、あゆらを凝視した。最初は怪訝な顔をしていたが、そのつぶらな瞳は徐々にキラキラと輝き憧れの眼差しへと色を変えた。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

不本意な転生 ~自由で快適な生活を目指します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,782pt お気に入り:3,699

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:16,898pt お気に入り:12,698

もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14,925pt お気に入り:2,083

どうやら私は竜騎士様の運命の番みたいです!!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:6,588

処理中です...