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第五章、真実と情熱
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――志鬼は、悪夢を見なかった。
何か暖かな光に照らされる中、眠っているような、そんな安らかな時間だった。
「……ん」
眉を寄せながら、志鬼はその心地よい世界から帰還した。
瞼が薄く持ち上がり、まだ霞む白い天井を認めると、大きなあくびを一つしながら、上半身を起こした。
――なんや、やけにスッキリしてんな。
ぼんやり座りながら引き締まった脇腹を掻き、なんとなく隣に視線を移すと、志鬼は毛が逆立つ勢いで仰天した。
「な……!? あ、あゆ、なん、えっ……!?」
志鬼が狼狽えるのも無理はない。
すぐ横の畳の上には、聖母のように美しい寝顔の恋人がいたのだから。
しかもそんなあゆらの胸元には、白い子猫が寄り添っている。
「……そうや俺、あれから」
あゆらに甘え、遠慮なしに寝てしまったのだと思い出した志鬼だったが、反省するより先にとりあえず撮影大会を始める。
大好きな女の子と愛猫が一緒に寝ているという夢のコラボレーションを見逃すわけにはいかなかった。
いつも隙なくきちんとしているあゆらが眠っている姿を見るのは初めてで、実に貴重だ。
しかも自分を看病し疲れて寝落ちしたという最高のエピソードつきで、志鬼にとってこんなにも尊いことはない。
満足いくまでツーショットを撮り終えると、ついつい志鬼の目線はあゆらの足元へと移動する。
なんと、普段は膝下まであるはずの白いセーラー服のスカートが、太もも近くまで捲れているではないか。
寝返りのせいかなんなのかわからないが、とにかく捲れている。
捲れている。
嗚呼、捲れている。
何か暖かな光に照らされる中、眠っているような、そんな安らかな時間だった。
「……ん」
眉を寄せながら、志鬼はその心地よい世界から帰還した。
瞼が薄く持ち上がり、まだ霞む白い天井を認めると、大きなあくびを一つしながら、上半身を起こした。
――なんや、やけにスッキリしてんな。
ぼんやり座りながら引き締まった脇腹を掻き、なんとなく隣に視線を移すと、志鬼は毛が逆立つ勢いで仰天した。
「な……!? あ、あゆ、なん、えっ……!?」
志鬼が狼狽えるのも無理はない。
すぐ横の畳の上には、聖母のように美しい寝顔の恋人がいたのだから。
しかもそんなあゆらの胸元には、白い子猫が寄り添っている。
「……そうや俺、あれから」
あゆらに甘え、遠慮なしに寝てしまったのだと思い出した志鬼だったが、反省するより先にとりあえず撮影大会を始める。
大好きな女の子と愛猫が一緒に寝ているという夢のコラボレーションを見逃すわけにはいかなかった。
いつも隙なくきちんとしているあゆらが眠っている姿を見るのは初めてで、実に貴重だ。
しかも自分を看病し疲れて寝落ちしたという最高のエピソードつきで、志鬼にとってこんなにも尊いことはない。
満足いくまでツーショットを撮り終えると、ついつい志鬼の目線はあゆらの足元へと移動する。
なんと、普段は膝下まであるはずの白いセーラー服のスカートが、太もも近くまで捲れているではないか。
寝返りのせいかなんなのかわからないが、とにかく捲れている。
捲れている。
嗚呼、捲れている。
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