金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第五章、真実と情熱

15

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 外の世界から顔を覗かせたのは、あゆらが待ち望んだ彼である。
 志鬼は清志郎に捕らえられたあゆらの姿を見て、怒号に顔を歪めた。

「みかどおぉ……!!」

 あゆらが一人きりの時間を清志郎が見逃すはずがないと思った志鬼は、登校してすぐこの部屋に駆けつけた。清志郎がよからぬことを実行するなら、自分専用のこの場所しかないからだ。

「志鬼――!」
「悪い、あゆら、遅くなった」

 志鬼の顔を見ただけで、言葉にできないほどの強い安心感があゆらの胸を満たす。
 しかし、いつも志鬼をよく見ているあゆらだからこそ、その変化にすぐさま気づいた。どことなく顔が赤らんでいるような、辛そうな、そんな異変を察知したのだ。
 ――が、志鬼にどうしたのか尋ねる前に清志郎の身体を締めつける力がさらに強くなり、何もできなくなってしまった。

 志鬼が室内に足を踏み入れると同時に、清志郎はあゆらを掴んだまま奥の窓際まで下がる。
 予鈴はとっくに鳴り授業が始まっている上に、隣は音楽室で防音されているため、大声を出しても他の生徒たちや教師の耳に入ることはない。

「その薄汚い手さっさと離せや、お前なんかが触ってええ女ちゃうぞ」
「まるで自分ならいい、とでも言いたげな台詞だね」
「あいにくこちとらラブラブなもんで、邪魔せんといてくれる」

 ジリジリと、互いに距離を測りながら繰り広げられる攻防戦。
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