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第四章、愛は指先にのせて。
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――今朝の母といい、今の彼女たちといい、一体なんなのだ?
結婚だの、ウエディングドレスだの、そんなことが現実味を帯びてくるのはもっと先の話で、今の自分には関係ない。だけどもし、そんな未来の話をするとしたら、相手は恋を教えてくれた、あの人物しかいないだろう。
――そんなあゆらの甘い考えは、次の一幕で打ち砕かれることとなる。
客が全員揃ったところで、会場の一番奥である、一段高い司会者が立つべき場所。そこに現れたのはあゆらの父の幸蔵だった。
どうして、お父様が――?
あゆらの嫌な予感はどんどん濃度を増してゆく。
誰か、他の人たちに呼ばれたパーティーではないのか。なぜ、主催者が父なのか。
その疑問はやがて、明らかになる。
「ご機嫌麗しゅう、皆様、足をお運びいただき感謝いたします」
幸蔵はマイクを手にし、善人ぶった表の顔で自身に注目する客たちにそう述べた。
「さて、では早速ご紹介いたしましょう。……さあ、近い将来、我が息子となる彼です」
にこやかな幸蔵がかざした右手には、会場の袖から姿を現した“彼”がいた。
深みのあるネイビーのジャケットとパンツに、光沢あるシルバーのベスト。磨き上げられた質の高い革靴を美しい姿勢で鳴らしながら、柔らかな髪をした美少年は幸蔵の隣に立ち、マイクを受け取り……そして、言った。
「皆様、お忙しい中お越しいただきありがとうございます。僕、帝清志郎と、岸本あゆらの婚約パーティーへ、ようこそ」
結婚だの、ウエディングドレスだの、そんなことが現実味を帯びてくるのはもっと先の話で、今の自分には関係ない。だけどもし、そんな未来の話をするとしたら、相手は恋を教えてくれた、あの人物しかいないだろう。
――そんなあゆらの甘い考えは、次の一幕で打ち砕かれることとなる。
客が全員揃ったところで、会場の一番奥である、一段高い司会者が立つべき場所。そこに現れたのはあゆらの父の幸蔵だった。
どうして、お父様が――?
あゆらの嫌な予感はどんどん濃度を増してゆく。
誰か、他の人たちに呼ばれたパーティーではないのか。なぜ、主催者が父なのか。
その疑問はやがて、明らかになる。
「ご機嫌麗しゅう、皆様、足をお運びいただき感謝いたします」
幸蔵はマイクを手にし、善人ぶった表の顔で自身に注目する客たちにそう述べた。
「さて、では早速ご紹介いたしましょう。……さあ、近い将来、我が息子となる彼です」
にこやかな幸蔵がかざした右手には、会場の袖から姿を現した“彼”がいた。
深みのあるネイビーのジャケットとパンツに、光沢あるシルバーのベスト。磨き上げられた質の高い革靴を美しい姿勢で鳴らしながら、柔らかな髪をした美少年は幸蔵の隣に立ち、マイクを受け取り……そして、言った。
「皆様、お忙しい中お越しいただきありがとうございます。僕、帝清志郎と、岸本あゆらの婚約パーティーへ、ようこそ」
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