金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第四章、愛は指先にのせて。

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 この目に睨みつけられると、あゆらは足がすくみ、何も言えなくなってしまう。
 幼い頃からずっと植えつけられてきた恐怖心は、どれだけ精神が抗うため勇もうと、身体には正直に現れてしまう。

「お前の食事、教育、娯楽、この家に住めているのも、一体誰のおかげだと思っているんだ、一人では何もできないガキが」

 確かにそう言われればそうだ。
 しかし、ならばなぜ子供を作ったのだ? 作ったからには育てる義務が発生する。高校までの衣食住など、親が子に与える最低限の贈り物ではないのか。それをまるで鬼の首でも取ったかのように恩着せがましく言うのは、何か違う気がした。
 それでも、そんなことを口にしてしまえばどんな報復があるかわからない。
 そう思ったあゆらは、両手を握りしめながら幸蔵の言う通りにするしかなかった。

「……わかりました」
「お前は黙って私の言うことを聞いておけばいいんだ、まったく、どんな育て方をしているんだお前は」
「……申し訳ありません、幸蔵さん」
「言っておくが、あの小僧の家など関係ないぞ。極道に怯えていては政治家など務まらんからな」

 幸蔵は杏奈にまで叱咤をし、吐き捨てるようにそう言い放つと廊下を戻って行った。
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