金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第四章、愛は指先にのせて。

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 ふん、ふん、と鼻歌まじりにスキップをせんばかりの軽い足取り。
 いつも大人っぽくしとやかと周りに言われてきたあゆらが、ここまで子供のようにはしゃぐのは初めてだった。

「楽しみのあまり早起きしてしまったわ、ほとんど眠れなかったし……」

 遠足前夜の小学生並みに興奮して寝つきが悪かったあゆらは、口元に手を添え控えめにあくびをすると、ワンルームほどの広さを誇るウォークインクローゼットのドアを開け放した。
 アパレルショップのように美しく整頓された洋服たちはハンガーにかけられズラリ並び、記念すべき今日という日に私を選んでと輝いている。
 数えきれない上品で女性らしい衣類の中から、あゆらは目についたものを数点手にし、姿見の前で次々と合わせてゆく。

「これは少し派手すぎるかしら、遊園地だから動きやすくてあまり気取っていない方がいいわよね」

 爽やかな寒色がいいか、女の子らしい暖色がいいか、スカートの丈は恥じらいを持って長めにするか、それとも思いきって短めにするか。髪は普段通り下ろして行くか、特別に結って行くか、だとしたら髪飾りはどれがいいか……。
 買い物など何事も即決することが多いあゆらが、こればかりは相当悩み、時間をかけていた。
 少しでも志鬼に可愛い、綺麗だと、思われたいが故の乙女心である。
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