金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第四章、愛は指先にのせて。

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 あゆらが志鬼と潜入捜査をしてから早一ヶ月が経とうとしていた。
 季節は雨に恵まれた紫陽花の美しい梅雨へと移り変わった。
 学校の制服も半袖に薄手の素材となったが、志鬼は刺青を隠すため相変わらず長袖のカッターシャツにインナーを着ていた。
 しかしあゆらが志鬼の家に遊びに行く時は、半袖のTシャツとジーンズで過ごしており、そのラフな姿がなんともかっこよかった。

 志鬼はまだあゆらに手を出していなかった。
 海外では友人や家族がするようなハグや顔にキスをする行為は日課となっていたが、それ以上はしなかった。
 二人の関係性から考えれば恋人同士に違いなかったが、肝心のあゆらがまだ自分の気持ちを志鬼に伝えていなかった。
 志鬼の方も与えるだけ与えるばかりで、あゆらに対し返事を要求するようなことはしなかったため、あゆらは完全に言うタイミングを逃していたのだ。
 しかしあゆらの志鬼への思いは日毎増すばかりで、それに比例するように伝えたい気持ちも膨らんでいた。
 そう、今日、今日こそは、と。

「ああ、なんて素晴らしい快晴なの、おひさま、ありがとう」

 朝、目覚めたあゆらは豪華なレースがあしらわれたカーテンを開き、その先に広がる青空を見上げて歌うように言った。

 六月には珍しい清々しい晴れである。
 あゆらが天気を気にしていたのには、もちろん理由がある。
 今日は日曜、学校は休みで、志鬼と遊園地に行く約束をしていたのだ。
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