金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第三章、汚れた大人たち

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 表のクラブの半分にも満たない面積のそこには、丸椅子がまばらに置かれており、角には傷んだダイニングテーブルがあった。
 何よりもあゆらが驚いたのは、そこにいた数人の女性がみんな裸に近い格好をしていたことだ。
 足の付け根までしか長さがないキャミソールは赤青緑など様々な色をしていたが、どれも透明度が高く下着がほぼ見えている状態だった。
 彼女たちは丸椅子か床に直接座り、壁に力なくもたれている者もいた。

 性知識も授業で習った程度しかなく、男女の触れ合いなど少女漫画程度にしか知らなかったあゆらにとって、これは目を覆いたくなる現実だった。
 かといってそんなことをすれば明らかに不自然なため、あゆらはサングラスの奥にある大きな瞳を細めるしかなかった。
 ――舐めていた。
 売春などと聞いて、頭ではわかったつもりでいたが、まさかここまであからさまにそうだとわかるさまに出会うとは思っていなかったのだ。
 「見たくもないものを見ることになる」……そう言った志鬼を思い出す。
 あゆらには社会の闇の部分と向かい合う覚悟が、足りていなかった。

「どんな女の子がウケるか適当に見てってよ」

 あゆらの息苦しさをよそに、ミヤは慣れた口調で志鬼に話しかけた。

「そうそう、別に売り手が女の子とヤっちゃいけないってルールはないから、気に入った子がいれば手出してもいいよ。みんな脂っこいおっさんの相手ばっかりしてるから、ノマみたいに若い色男だと喜んで股開くと思うし」
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