95 / 228
第三章、汚れた大人たち
16
しおりを挟む
「わ、笑わないでよ、どうせ慣れていないからって馬鹿にしてるんでしょ」
「してないって、反応可愛いなって思っただけ。理性は強い方やから触られたからって襲ったりせんし、大丈夫やで」
一頻り笑い終えた志鬼はそう言って、またあゆらに向き直った。
あゆらは変わらず正座の状態から、そっと右手人差し指を持ち上げると、志鬼の綺麗に割れた六つの筋肉の一つに近づけた。
そしてほんの少しだけ先が触れた瞬間、驚きの声を上げる。
「す、すごい……!」
それは、あゆらの想像を絶する硬さだった。
女性である自身には無縁で未知なる境地に、興奮したあゆらはつい何度も何度も志鬼の筋肉をつついた。
「す、すごいわ、硬い……! すごい、こんなに、硬いだなんて、少し動いているし、熱いし、大きくて、すごいわっ……」
「……あゆらに頼みがある」
「何?」
「録音するがら今のもういっがい言うでぐだざい」
「はあ? ……って志鬼、どうしたの?」
「ちょっど鼻血が」
「なぜ?」
小刻みに震えつつ鼻を押さえながらスマートフォンを握りしめる志鬼に、あゆらは疑問符を浮かべながら首を傾げていた。
健全な男子高生に夜のおともは必要不可欠なので、仕方がないことである。
しかし好きな女の子のこんな台詞だけで舞い上がってしまう志鬼は、軽薄そうな外見にそぐわずなかなかの純情ボーイだった。
「してないって、反応可愛いなって思っただけ。理性は強い方やから触られたからって襲ったりせんし、大丈夫やで」
一頻り笑い終えた志鬼はそう言って、またあゆらに向き直った。
あゆらは変わらず正座の状態から、そっと右手人差し指を持ち上げると、志鬼の綺麗に割れた六つの筋肉の一つに近づけた。
そしてほんの少しだけ先が触れた瞬間、驚きの声を上げる。
「す、すごい……!」
それは、あゆらの想像を絶する硬さだった。
女性である自身には無縁で未知なる境地に、興奮したあゆらはつい何度も何度も志鬼の筋肉をつついた。
「す、すごいわ、硬い……! すごい、こんなに、硬いだなんて、少し動いているし、熱いし、大きくて、すごいわっ……」
「……あゆらに頼みがある」
「何?」
「録音するがら今のもういっがい言うでぐだざい」
「はあ? ……って志鬼、どうしたの?」
「ちょっど鼻血が」
「なぜ?」
小刻みに震えつつ鼻を押さえながらスマートフォンを握りしめる志鬼に、あゆらは疑問符を浮かべながら首を傾げていた。
健全な男子高生に夜のおともは必要不可欠なので、仕方がないことである。
しかし好きな女の子のこんな台詞だけで舞い上がってしまう志鬼は、軽薄そうな外見にそぐわずなかなかの純情ボーイだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
君のために僕は歌う
なめめ
青春
六歳の頃から芸能界で生きてきた麻倉律仁。
子役のころは持てはやされていた彼も成長ともに仕事が激減する。アイドル育成に力を入れた事務所に言われるままにダンスや歌のレッスンをするものの将来に不安を抱いていた律仁は全てに反抗的だった。
そんな夏のある日、公園の路上でギターを手に歌ってる雪城鈴菜と出会う。律仁の二つ上でシンガーソングライター志望。大好きな歌で裕福ではない家族を支えるために上京してきたという。そんな彼女と過ごすうちに歌うことへの楽しさ、魅力を知ると同時に律仁は彼女に惹かれていった………
恋愛、友情など芸能界にもまれながらも成長していく一人のアイドルの物語です。
山田がふりむくその前に。
おんきゅう
青春
花井美里 16歳 読書の好きな陰キャ、ごくありふれた田舎の高校に通う。今日も朝から私の前の席の山田がドカっと勢いよく席に座る。山田がコチラをふりむくその前に、私は覚悟を決める。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺たちの共同学園生活
雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。
2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。
しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。
そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。
蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?
放課後はネットで待ち合わせ
星名柚花
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】
高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。
何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。
翌日、萌はルビーと出会う。
女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。
彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。
初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる