金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第三章、汚れた大人たち

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 次に志鬼は、一枚の写真をあゆらに渡した。そこには見覚えのある人物が写っていたのだ。同じく少女の肩を抱き、夜闇に紛れ怪しげな建物……ラブホテルへと入っていく小太りな年配男性は――。

「これは……こ、校長、先生……!?」

 あゆらは目を見張り、驚きの声を上げた。
 しかし、その後すぐにあの出来事が脳裏をよぎる。職員室で清志郎の件を相談しに行った、あの時のことだ。

「……美鈴が亡くなる前、帝くんのことを担任の先生に話しに行ったことがあるの。それを校長先生に聞かれていて……『忘れなさい』って言われたわ。まるで、帝くんがやっていることを知っているみたいに落ち着いて、冷たい目をしていた」
「ほう、そら間違いなく知ってて隠せという意味やな」
「帝くんと、この、援助交際に何か繋がりがあるのかしら?」
「大アリや。監察官をこのネタで脅した時に、帝に女の子を何回か紹介してもらったことがあるってハッキリ言うたからな」

 あゆらはショックで一瞬言葉を失った。
 なぜならそれは、あの美鈴の売春も意味していたからだ。

「なら、なら……み、美鈴も」
「……だから言うたやろ、傷つくって」

 あゆらは美鈴に言われたことを思い出していた。
 
「美鈴に、帝くんの話をした時、これはただのいじめじゃない、と示唆することを言われたわ。絶対に私を巻き込みたくないから、帝くんに関わってはいけない、とも……」
「よほどあゆらのことが大事やったんやな。同じ思いをさせたくなかったんやろ」
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