金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第二章、騎士と王子

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 それから探偵の調査報告が来るまでの間、あゆらと志鬼はずっと一緒に過ごした。
 学校にいる時はもちろんのこと、放課後例のゲームセンターから映画、特に目的もなく散歩がてら街に出てウインドウショッピングをしたり、アイスクリームなんかを買い食いしたりした。
 志鬼は遊びをよく知っていた。
 きっと地元では友人も多いのではないかと思われた。

 あゆらは清志郎に罵声を浴びせて以来、周りから距離を置かれていた。いじめられるようなことはなかったが、以前のようにもてはやされることもなくなった。
 一方、志鬼はというと、家柄や奇抜な見た目のせいで敬遠されている部分はあったが、最初ほどではなくなった。
 ふとした瞬間、あゆらは志鬼がクラスの男子生徒たちと談笑する姿を目撃した。その数は日を経つごとに増えていった。
 人間関係を作る上で反社会勢力の家系という大きな問題をマイナスしても、志鬼の魅力がそれを相殺し、プラスに傾きつつあるのだろうとあゆらは感じた。そしてそこになんの疑問も抱かなかった。

 志鬼は破天荒ではあるが、人が嫌悪を抱く境をわきまえているように見えた。空気を読むのがうまく、話のテンポもよく、気づけば人を自分のペースに巻き込んでいる。
 志鬼には人を惹きつける力があった。
 それでも他に親しい者を作ろうとせず、番犬のように常に自身の側をついて歩く志鬼に、あゆらは申し訳ないような、得意なような、愛おしい気持ちを募らせていった。
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