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第二章、騎士と王子
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「きゃああああ!!」
一人の少女の悲鳴が上がる。目の前には口にするのも忌まわしい惨状が……
なかった。
あゆらは違法薬物の取引を目撃したわけでも、ふしだらな店に連れて来られたわけでもない。
「おらおらおら、ごぼう抜きやああ!」
ハンドルを巧みに操りながら前を走る車を疾風のごとく抜き去る志鬼。だが無免許運転をしているわけでもスピード違反をしているわけでもない。
実際の車内を細かく再現したコックピットが横一列にズラリと並び、その一つに乗った志鬼の傍らにあゆらはいた。背後にはファンシーな音楽を奏でるクレーンゲームが多数置かれている。
そう、ここはやんちゃなよい子の登竜門、ゲームセンターであった。
あゆらが高い声を出していたのは、レースゲームをする志鬼を見て興奮していたからである。
「すごいわ志鬼、私もやってみたい!」
「お、ノリええなあ、よっしゃ、俺がやり方教えたろ」
「初めてで少し怖いから優しく教えてよね」
「……ちょっと今のもう一回言ってくれる?」
「はあ?」
あゆらの発言が志鬼の男心を刺激したのは別として、簡単に操作方法を教えてもらったあゆらのレースデビューはなかなかの腕前だった。
「げっ、初めてやのになんで俺より上手いん!?」
「ふふ、私ったら何やらせても一流ね」
「自画自賛してる間にクラッシュしてるけど」
「えっ、嘘っ!?」
油断した隙に思いきり車が壁に突っ込み、画面にはGAMEOVERの文字がでかでかと表示されていた。
一人の少女の悲鳴が上がる。目の前には口にするのも忌まわしい惨状が……
なかった。
あゆらは違法薬物の取引を目撃したわけでも、ふしだらな店に連れて来られたわけでもない。
「おらおらおら、ごぼう抜きやああ!」
ハンドルを巧みに操りながら前を走る車を疾風のごとく抜き去る志鬼。だが無免許運転をしているわけでもスピード違反をしているわけでもない。
実際の車内を細かく再現したコックピットが横一列にズラリと並び、その一つに乗った志鬼の傍らにあゆらはいた。背後にはファンシーな音楽を奏でるクレーンゲームが多数置かれている。
そう、ここはやんちゃなよい子の登竜門、ゲームセンターであった。
あゆらが高い声を出していたのは、レースゲームをする志鬼を見て興奮していたからである。
「すごいわ志鬼、私もやってみたい!」
「お、ノリええなあ、よっしゃ、俺がやり方教えたろ」
「初めてで少し怖いから優しく教えてよね」
「……ちょっと今のもう一回言ってくれる?」
「はあ?」
あゆらの発言が志鬼の男心を刺激したのは別として、簡単に操作方法を教えてもらったあゆらのレースデビューはなかなかの腕前だった。
「げっ、初めてやのになんで俺より上手いん!?」
「ふふ、私ったら何やらせても一流ね」
「自画自賛してる間にクラッシュしてるけど」
「えっ、嘘っ!?」
油断した隙に思いきり車が壁に突っ込み、画面にはGAMEOVERの文字がでかでかと表示されていた。
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