金色の庭を越えて。

碧野葉菜

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第二章、騎士と王子

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 その日学校が終わると、あゆらはすぐに美鈴の実家に電話をかけた。
 それほど遠くに引っ越していなかったので、固定電話の番号が以前と同じだったことに安堵した。
 電話口には美鈴の父親が出た。母親はまだ話せる状態ではないとのことだったが、父親は想像していたより落ち着いてあゆらの話を聞いてくれた。
 とはいえ、実は美鈴はクラスメイトに殺されたのだと伝えてしまえば、ただでさえ悲しみのどん底にいる両親をパニックに陥れかねない。そのため核心は避け、調べたいことがあるので美鈴の解剖を担当した者の名前を知りたいと言った。
 両親も娘の死を不審に思ったらしく、やはり解剖に回していた。
 一度電話を切った後、しばらくして父親から折り返し電話があり、美鈴の通夜が終わった二日後なら家に来ていいとのことだった。母親が、あゆらに会いたがっているとも言っていた。
 疎遠になっていたため、今更なんの用だと冷たく当たられるのを覚悟の上で連絡したあゆらは、少しだけ肩の力を抜いた。

 あゆらと志鬼は二日後の放課後、美鈴の実家である萩原家に向かった。
 学校の最寄駅から普通電車に乗り込み、あゆらの家とは逆方向の三駅目で降りる。
 父親から聞いた目印を頼りに、志鬼と相談しながら歩いて行くと、あゆらはふと横切った先にメモしていたアパート名を見つけた。
 二人はこじんまりとした二階まである建物の前に立ち止まる。
 まだ築年数が浅いのだろう、そのアパートは借家とは言え汚れは見当たらず、洋風で垢抜けた雰囲気を持っていた。
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