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第二章、騎士と王子
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「もう私の学校での立場を気にする必要はないわよ。昨日の一件で、まるで気狂い扱いだもの。こうなったら開き直って好きにやってやるわ」
あゆらが身体をやや傾けてそう言うと、志鬼は幅の狭い目を精一杯見開いた後、太陽のように明るく笑った。
そして気の赴くままに、あゆらの肩を右腕で思いきり抱き寄せた。
「そうか、そうか! なら人目を憚らず存分に仲良しこよしできるな!」
何が起きたかわからなかったあゆらは、フリーズしたまま志鬼に抱きしめられていた。
しばらくすると、整髪料のような汗のような、嗅いだことのない男っぽい匂いに気づいたあゆらは、みるみるうちに顔を朱色に染めた。
「ちょっ……と、あ、あなたは昨日から、距離が近すぎるんじゃないかしら!?」
「昨日も思ったけどそのあなた、って呼び方新婚みたいでクルな、でも呼び捨てもええしなあ」
志鬼の顎を両手で持ちどうにか引き離そうと努力していたあゆらだったが、その口から出た緊張感のない台詞に思わず吹き出してしまった。
「わ、笑わせないでよ、笑ってる場合じゃないのに」
「ええやん、笑っとけ笑っとけ」
志鬼の溌剌とした笑顔を前にすると、あゆらは些細なことを悩むのがバカらしくなり、実に爽快な気分になった。
そんな二人のやり取りを、清志郎は振り向かずして、背中でよく聞いていた。
どういった巡り合わせかはわからないが、あゆらが志鬼に自身と美鈴についてすべてを話していると悟った。
あゆらが身体をやや傾けてそう言うと、志鬼は幅の狭い目を精一杯見開いた後、太陽のように明るく笑った。
そして気の赴くままに、あゆらの肩を右腕で思いきり抱き寄せた。
「そうか、そうか! なら人目を憚らず存分に仲良しこよしできるな!」
何が起きたかわからなかったあゆらは、フリーズしたまま志鬼に抱きしめられていた。
しばらくすると、整髪料のような汗のような、嗅いだことのない男っぽい匂いに気づいたあゆらは、みるみるうちに顔を朱色に染めた。
「ちょっ……と、あ、あなたは昨日から、距離が近すぎるんじゃないかしら!?」
「昨日も思ったけどそのあなた、って呼び方新婚みたいでクルな、でも呼び捨てもええしなあ」
志鬼の顎を両手で持ちどうにか引き離そうと努力していたあゆらだったが、その口から出た緊張感のない台詞に思わず吹き出してしまった。
「わ、笑わせないでよ、笑ってる場合じゃないのに」
「ええやん、笑っとけ笑っとけ」
志鬼の溌剌とした笑顔を前にすると、あゆらは些細なことを悩むのがバカらしくなり、実に爽快な気分になった。
そんな二人のやり取りを、清志郎は振り向かずして、背中でよく聞いていた。
どういった巡り合わせかはわからないが、あゆらが志鬼に自身と美鈴についてすべてを話していると悟った。
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