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第一章、発端
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とりあえず眠ることはできたものの、気がかりなことがあったせいか午前五時に目が覚めてしまったあゆらは、メイドが朝食を作り終える前に登校した。専属の運転手を早く呼びつけてしまったのは申し訳なかったが、今日ばかりは仕方がないと思った。
なぜなら他の生徒たちが学校に来る前に、あゆらはしなくてはならないことがあったからだ。
あゆらはリムジンから降りると、髪を靡かせながらお嬢様らしからぬ駆け足で校内に入り、職員室へ向かった。
目的は、担任に清志郎のことを話すのみ。
開門されてすぐの早朝の高校には、屋外に運動部中心のクラブ活動をする生徒がいるくらいで、校内には静けさが流れている。
あゆらは職員室の前に立つと、ふぅ、と一つ息を吐いて、心を落ち着かせてからそのドアをスライドさせた。
「失礼いたします」
まだ出勤していない職員も多いらしく、ねずみ色の机は空席が目立った。
「あら、おはようございます、岸本さん。今日はずいぶん朝早いわね、何かありましたか?」
あゆらの担任は焦茶色のボブヘアーをした口元にホクロを持つ色っぽい女性である。
あゆらは彼女になるべく近づき、とりあえず他の教師に気づかれないよう小さく口を開いた。
「あの、先生にお話があるんです」
「お話? もちろん聞きますよ、なんでもどうぞ」
優しい微笑みに、あゆらは一安心した。
真面目だけで育てられてきたあゆらにとって、教師は敬うべき大きな存在だった。
――この時までは。
なぜなら他の生徒たちが学校に来る前に、あゆらはしなくてはならないことがあったからだ。
あゆらはリムジンから降りると、髪を靡かせながらお嬢様らしからぬ駆け足で校内に入り、職員室へ向かった。
目的は、担任に清志郎のことを話すのみ。
開門されてすぐの早朝の高校には、屋外に運動部中心のクラブ活動をする生徒がいるくらいで、校内には静けさが流れている。
あゆらは職員室の前に立つと、ふぅ、と一つ息を吐いて、心を落ち着かせてからそのドアをスライドさせた。
「失礼いたします」
まだ出勤していない職員も多いらしく、ねずみ色の机は空席が目立った。
「あら、おはようございます、岸本さん。今日はずいぶん朝早いわね、何かありましたか?」
あゆらの担任は焦茶色のボブヘアーをした口元にホクロを持つ色っぽい女性である。
あゆらは彼女になるべく近づき、とりあえず他の教師に気づかれないよう小さく口を開いた。
「あの、先生にお話があるんです」
「お話? もちろん聞きますよ、なんでもどうぞ」
優しい微笑みに、あゆらは一安心した。
真面目だけで育てられてきたあゆらにとって、教師は敬うべき大きな存在だった。
――この時までは。
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