16 / 228
第一章、発端
16
しおりを挟む
「ぐ、が、が……」
蛙が呻くような醜い声の先を、あゆらは急ぎ振り返った。
そしてそこで、運命の金色を目にする。
日本人離れした背の高さに、しなやかに伸びた長い四肢。それらの頂に据えられた頭髪は街頭に照らされ星屑のように輝いていた。
肩につく程度の金髪を襟足で束ねた男は、右手で細い男の首根っこを掴んでいた。その足は地から浮いている。
先ほどまであゆらの身を拘束していた男を、まるで赤子のように軽々片手で掴み上げた彼は、野球ボールを投げるように振りかぶった。
次の瞬間、すぐ側に茫然と立ち尽くしていた太った男にそれを投げつけると、二人は勢いよくコンクリートの地面に倒れ込んだ。
それを見た家の前に待機していた背の低い男は、苛立った顔つきで立ち上がると徐に金髪の彼に近づいた。
その手には歪な刃先をした、サバイバルナイフが握られていた。
あゆらは激しく動揺した。
武器を出すなんて卑怯だと、いくら強くても怪我を負うのではと思ったのだ。
しかし、そんな杞憂は瞬く間にして消え失せる。
「調子に……乗ってんじゃねえぞ、てめえぇ!!」
怒声とともにナイフを振りかざし、襲い来る男。
しかし、迎え撃つ彼は笑っていた。
軽く握り拳を作ると、その右手を振り上げ、一瞬にして男の頬に食らわせる。
あまりの速さに、あゆらには何が起こったかわからないほどだった。
あゆらが理解した時には、背の低い男はすでに宙を舞い、門を飛び越え玄関扉にぶつかって気絶していた。
圧倒的リーチと力の差で、ナイフが自身に及ぶより先にパンチをお見舞いしたのである。
蛙が呻くような醜い声の先を、あゆらは急ぎ振り返った。
そしてそこで、運命の金色を目にする。
日本人離れした背の高さに、しなやかに伸びた長い四肢。それらの頂に据えられた頭髪は街頭に照らされ星屑のように輝いていた。
肩につく程度の金髪を襟足で束ねた男は、右手で細い男の首根っこを掴んでいた。その足は地から浮いている。
先ほどまであゆらの身を拘束していた男を、まるで赤子のように軽々片手で掴み上げた彼は、野球ボールを投げるように振りかぶった。
次の瞬間、すぐ側に茫然と立ち尽くしていた太った男にそれを投げつけると、二人は勢いよくコンクリートの地面に倒れ込んだ。
それを見た家の前に待機していた背の低い男は、苛立った顔つきで立ち上がると徐に金髪の彼に近づいた。
その手には歪な刃先をした、サバイバルナイフが握られていた。
あゆらは激しく動揺した。
武器を出すなんて卑怯だと、いくら強くても怪我を負うのではと思ったのだ。
しかし、そんな杞憂は瞬く間にして消え失せる。
「調子に……乗ってんじゃねえぞ、てめえぇ!!」
怒声とともにナイフを振りかざし、襲い来る男。
しかし、迎え撃つ彼は笑っていた。
軽く握り拳を作ると、その右手を振り上げ、一瞬にして男の頬に食らわせる。
あまりの速さに、あゆらには何が起こったかわからないほどだった。
あゆらが理解した時には、背の低い男はすでに宙を舞い、門を飛び越え玄関扉にぶつかって気絶していた。
圧倒的リーチと力の差で、ナイフが自身に及ぶより先にパンチをお見舞いしたのである。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】ツインクロス
龍野ゆうき
青春
冬樹と夏樹はそっくりな双子の兄妹。入れ替わって遊ぶのも日常茶飯事。だが、ある日…入れ替わったまま両親と兄が事故に遭い行方不明に。夏樹は兄に代わり男として生きていくことになってしまう。家族を失い傷付き、己を責める日々の中、心を閉ざしていた『少年』の周囲が高校入学を機に動き出す。幼馴染みとの再会に友情と恋愛の狭間で揺れ動く心。そして陰ではある陰謀が渦を巻いていて?友情、恋愛、サスペンスありのお話。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
ただ巻き芳賀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
拝啓、お姉さまへ
一華
青春
この春再婚したお母さんによって出来た、新しい家族
いつもにこにこのオトウサン
驚くくらいキレイなお姉さんの志奈さん
志奈さんは、突然妹になった私を本当に可愛がってくれるんだけど
私「柚鈴」は、一般的平均的なんです。
そんなに可愛がられるのは、想定外なんですが…?
「再婚」には正直戸惑い気味の私は
寮付きの高校に進学して
家族とは距離を置き、ゆっくり気持ちを整理するつもりだった。
なのに姉になる志奈さんはとっても「姉妹」したがる人で…
入学した高校は、都内屈指の進学校だけど、歴史ある女子校だからか
おかしな風習があった。
それは助言者制度。以前は姉妹制度と呼ばれていたそうで、上級生と下級生が一対一の関係での指導制度。
学園側に認められた助言者が、メンティと呼ばれる相手をペアを組む、柚鈴にとっては馴染みのない話。
そもそも義姉になる志奈さんは、そこの卒業生で
しかもなにやら有名人…?
どうやら想像していた高校生活とは少し違うものになりそうで、先々が思いやられるのだけど…
そんなこんなで、不器用な女の子が、毎日を自分なりに一生懸命過ごすお話しです
11月下旬より、小説家になろう、の方でも更新開始予定です
アルファポリスでの方が先行更新になります
8年間未来人石原くん。
七部(ななべ)
青春
しがない中学2年生の石原 謙太郎(いしはら けんたろう)に、一通の手紙が机の上に届く。
「苗村と付き合ってくれ!頼む、今しかないんだ!」
と。8年後の未来の、22歳の自分が、今の、14歳の自分宛に。苗村 鈴(なえむら すず)
これは、石原の8年間の恋愛のキャンバスのごく一部分の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる