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第一章、発端
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あゆらは音楽を担当している教師に会いに、別棟にある三階の音楽室に向かった。
音楽教師は、音楽室とドアを隔てて繋がった小部屋にいることが多いと聞いていたからだ。
あゆらはまず音楽室に入り、その小部屋に続くドアをノックした。
「先生、いますか? 岸本です」
そう呼んでも中から応答はなく、鍵もかかっていたため、あゆらは早々に不在なのだとあきらめた。
吹奏楽部は屋外で練習中らしく、誰もいない音楽室はしんと静まり返っている。
あゆらは教師にわかるよう、教壇に置かれたメモ用紙にペンを走らせた。
「先生、お借りしたボールペン、返すのを忘れて申し訳ありません、岸本あゆら……と、これでいいわよね」
そうあゆらが一人で確認しながらメモの上にボールペンを置いた時だった。
――突如、壁に何かがぶつかるような鈍い音が響いた。
部屋を伝って感じた振動に、あゆらは少し肩を揺らし驚くと、顔を上げ発信源だと思われる先に目をやった。
教師が使う小部屋とは逆方向、音楽室の裏側から、その音が聞こえた気がしたのだ。
――あっちは、確か……。
あゆらは考え、思い出した。
音楽室の隣には、清志郎のバイオリン部屋があることを。
清志郎は教師からも信頼され、バイオリンの腕も買われていたため、学校から特別に練習するための個室を与えられていたのだ。
音楽教師は、音楽室とドアを隔てて繋がった小部屋にいることが多いと聞いていたからだ。
あゆらはまず音楽室に入り、その小部屋に続くドアをノックした。
「先生、いますか? 岸本です」
そう呼んでも中から応答はなく、鍵もかかっていたため、あゆらは早々に不在なのだとあきらめた。
吹奏楽部は屋外で練習中らしく、誰もいない音楽室はしんと静まり返っている。
あゆらは教師にわかるよう、教壇に置かれたメモ用紙にペンを走らせた。
「先生、お借りしたボールペン、返すのを忘れて申し訳ありません、岸本あゆら……と、これでいいわよね」
そうあゆらが一人で確認しながらメモの上にボールペンを置いた時だった。
――突如、壁に何かがぶつかるような鈍い音が響いた。
部屋を伝って感じた振動に、あゆらは少し肩を揺らし驚くと、顔を上げ発信源だと思われる先に目をやった。
教師が使う小部屋とは逆方向、音楽室の裏側から、その音が聞こえた気がしたのだ。
――あっちは、確か……。
あゆらは考え、思い出した。
音楽室の隣には、清志郎のバイオリン部屋があることを。
清志郎は教師からも信頼され、バイオリンの腕も買われていたため、学校から特別に練習するための個室を与えられていたのだ。
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